【CJC=東京】シリアのダマスカス北方マアロウラで聖テクラ修道会の修道女12人が2日拉致された。現地はキリスト者が多数居住する地域で、宗教間対立の一環として拉致されたと見られる。教皇フランシスコは、解放を繰り返し訴えている。
カトリック慈善団体「教会緊急援助」とのインタビューで、シリア正教会のアルネメ主教は、修道女たちからの連絡がないと語っている。情報では、修道女たちはマアロウラから約20キロ離れたヤブルドにいる模様。
同主教は、「修道女の即時解放を要請する。誰にも何も危害を与えていない。体制側にも反対側にも組みしておらず、修道院では、戦禍を受けた難民をイスラム教徒でも誰でも、宗教と関係なく援助している」と語った。
メルキト典礼ギリシャ・カトリック教会の指導者グレゴリオス3世も修道女解放を訴え、ギリシャ正教会総主教ヨハネ10世(アンテオケ)の手に即時委ねるべきだ、と言う。
グレゴリオス3世もアルネメ主教も、今年3月にアレッポ付近で拉致された総主教の兄弟パウル・ヤジギ大主教とヨハネ・イブラヒム大主教の所在が今も不明だ、と指摘する。
アルネメ主教は、シリア紛争でキリスト者の受けた被害が大きいと言う。自ら主教座を置くホムズでキリスト者3000人が犠牲となっており、さらに10万人が脱出せざるを得なくなり、教会堂も多数破壊された、と述べている。
シリア市民は戦争に疲れはてた、とアルメネ主教は「これが革命だとか改革だ、さらには明確な基盤の上に新しい国家を設けるのだ、などとは誰も信じてはいない」と言う。
今では1月にジュネーブで開かれる平和会議に希望を託すだけだとして、そこで紛争解決が図られ、正義と平和への希望がもたらされるのではないか、と期待する人は多い。