韓国光林教会(キム・ジョンソク牧師)は7日、同教会の敷地内に新設した社会奉仕館の奉献礼拝をささげた。韓国キリスト教会の重鎮が多数出席する中、日本からは淀橋教会主管牧師の峯野龍弘氏が来賓として出席し、祝辞を述べた。
社会奉仕館は、地下6階、地上9階の宗教文化施設で、敷地面積5500平方メートル、延べ床面積4万5345平方メートル。建築期間は、2011年4月10日から2013年8月31日までの約2年半で、総工費は設計費などを含めて約700億ウォン(日本円で約64億円)。障害者支援施設、高齢者介護施設のほか、託児所、青少年教育施設、ミュージカルホール、礼拝堂、国際会議などの多目的コンベンションホール、体育施設、光林歴史博物館、多目的常設バザー会場、書店、食堂、カフェ、図書室などを備えている。
奉献礼拝では、初めに韓国メソジスト・ソウル総会監督のキム・ヨンホン氏が祈祷をささげ、「病人や社会から疎外された人、見捨てられた人々が社会奉仕館で癒やされ、歴史の主役になる美しい御業がなされることを願う」と述べた。韓国メソジスト総会会長のジョン・ヨンジェ氏は、「仕えるために来られたイエス・キリスト」と題してマルコによる福音書10章45節から説教した。
ジョン氏は、「キリスト教の愛は、奉仕に表されている。世では奉仕に条件をつけるが、私たちは対価を望まず仕えなければならない。私たちは世界を抱いて愛することを決断しなければならない」とし、「この社会奉仕館は、光林教会の犠牲であり、愛の実践である。この建築物が、社会から疎外された人々への奉仕の道具になることを願う。イエス・キリストの香りが、ここを訪れるすべての人々に広がる必要がある」と語った。
また、「ジョン・ウェスレーは、社会を抱いて変革する社会奉仕を実践したが、この壮麗な奉仕館も、社会宣教に向けたオープンスペースでなければならない」と述べ、「イエス様も『人の子がこの地に来たのは仕えられるためではなく、かえって仕えるためである』と言われた。奉仕館の中で労苦する多くの奉仕の手が直ちに重要である。イエス様は、極めて小さな兄弟たちに仕えるために光林教会を用いておられる」と説いた。
キム・ジョンソク氏は、奉献を宣言し、「この社会奉仕館は、光林教会の聖徒たちの祈りと労苦で献身的に造られたもので、イエス様の尊い御言葉を実践する場所として用いられることを願う」と述べた。続いて出席者全員で奉献交読文を朗読し、奉献の祈りを韓国メソジスト・ソウル南総会監督のイム・ジュンテク氏がささげた。
続いて、峯野氏をはじめ、ソウル神学大学総長のユ・ソクソン氏、ウェスレー神学大学総長のデビット・マックアリスター氏が祝辞を述べ、ウェスレーチャペル牧師のウェスレー・グリフィス氏、アズベリー神学大学院総長のテモシー・テネント氏、WCC総幹事のオラフ・トゥベイト氏が映像で祝辞を述べた。
峯野氏は、「この社会奉仕館を神様の前にささげられた光林教会の皆様の喜びがあふれていることを拝見して御名をあがめる」と語り、「これから後、大きな慰めと癒やしを受けるであろう近隣社会の一般市民の方々、心に悩みを持つ多くの方々もこの喜びに応じているのではないか。何よりも神様がどんなにかお喜びくださっていることか」と述べた。
また、イザヤ書58章6~9節を引用し、「神様はこのイザヤの時代のイスラエルの民たちが、神の御心から遠く離れていながら、なおも形式的な礼拝をささげ、その実、助けを要する人たちを助けようとすることと不連続に生活していたことが指摘されている。自己充足、自己目的的な内向きになってる彼らの姿は、特に日本の教会の今日の姿を表しているように思う」と述べた。そのうえで、「そうした日本の教会に対して、この素晴らしい光林教会の営みは、大きなチャレンジであり、悔い改めと反省と将来に対する有り方を教えてくれる」と語った。さらに、「ジョンウェスレーがかの時代に全人的な宣教をしながら、特に悩み悲しみをもった人々に身を徹して大きな社会変革をなしえたことを覚えるときに、光林教会の営みがウェスレーの生き方そのものをいまの時代に表しているように思う」と述べた。
峯野氏は、「イスラエルの指摘された過ちも、日本の諸教会の過ちも、愛の喪失が原因だと思っている。教会が立てこもっているのではなくて、いかなる自己犠牲をも甘受しながら、助けを要するすべての民の中に彼らが出て行って、そこに愛をもって仕える。これこそいま求められていることと覚え、日本に派遣されるような思いをもってこの式典に出席させていただいた」と語った。
マックアリスター氏は、「この社会奉仕館が建てられたことを見たとき、キリストが両手を広げてこの町を祝福されるのを感じた。イエス様は荒野でサタンの誘惑に勝った後の最初の言葉で『わたしの上に主の御霊がおられる。貧しい人々に福音を』と宣言された。貧しくて社会から疎外された人は、この奉仕館を通してまるで自分の家に帰ってきたような思いを抱くことになるだろう」と語り、「韓国の夜空に見られる多くの赤い十字架のように、この奉仕館を通してイエス・キリストの愛が全世界に広がっていくことを願う」と述べた。
トゥベイト氏は映像で、「この社会奉仕館に入ってくるすべての人々がイエス・キリストの恵みの祝福を受けるように」と祝福した。キム・ジョンソク氏が功労者に感謝状を贈呈し、最後にキム・ソンド氏が祝祷し、閉会した。礼拝後には、社会奉仕館前でテープカットが行われた。