イエスはその人を抱いて直してやり
ルカの福音書14章1~6節
[1]序
今回の聖書の箇所も、主イエスがパリサイ人たちと安息日をめぐり、癒やしをなさり主張をなさる記事です(6章6~11節、13章10~17節)。
ここに登場するパリサイ派の指導者は、おそらく会堂の監督であり、会堂での礼拝後安息日の祝いの食事(4章38、39節)での出来事。
[2]律法学者やパリサイ人たちの態度
(1)「みんながじっとイエスを見つめていた」(1節、6章6節)。
(2)「安息日に病気を直すことは正しいことですか、それともよくないことですか」と人々が自ら考えるように訴えられます。主イエスの問いに対して、「彼らは黙っていた」(4節)。
(3)5節に見る、主イエスの問いに対しても、「彼らは答えることができなかった」(6節)。この問いを通して、主イエスは安息日が神の恵みの日であることを明らかにされます。
[3]主イエスの態度
(1)主イエスと病める人との関係
「そこには、イエスの真っ正面に、水腫をわずらっている人がいた」(2節)。主イエスは、その人をご自身の真正面に見てくださる。
(2)主イエスは、ことばに表されていない挑戦に答え、人々に問いつつ、「イエスはその人を抱いていやし、帰された」(4節)と癒やしの業を進められます。
[4]結び
主イエスは、ひとりひとりをどのように取り扱われるか。「抱いていやし」(9章47節、15章の三つのたとえ、羊飼に抱かれた子羊の姿)と、主イエスの愛と助けが示されています。
宮村武夫(みやむら・たけお)
1939年東京生まれ。日本クリスチャン・カレッジ、ゴードン神学院、ハーバード大学(新約聖書学)、上智大学神学部修了(組織神学)。現在、日本センド派遣会総主事。
主な著訳書に、編著『存在の喜び―もみの木の十年』真文舎、『申命記 新聖書講解シリーズ旧約4』、『コリント人への手紙 第一 新聖書注解 新約2』、『テサロニケ人への手紙 第一、二 新聖書注解 新約3』、『ガラテヤ人への手紙 新実用聖書注解』以上いのちのことば社、F・F・ブルース『ヘブル人への手紙』聖書図書刊行会、他。