【CJC=東京】バチカン(ローマ教皇庁)機密文書館が所蔵している歴史的文書の一部、約100点がローマのカピトリーニ美術館で初めて一般公開された。「神秘の光」と題された展示は、機密文書館開設400年を記念して行われているもので9月9日まで。
公開されたものの中には、宗教改革者マルティン・ルターへ1521年出されたレオ10世の破門状や、地動説を唱えたガリレオ・ガリレイに対する異端審問の記録のほか、14世紀の「テンプル騎士団」の宗教裁判に関する文書、クリストファー・コロンブスのアメリカ大陸発見を受けて教皇アレクサンデル6世が出した布告、ミケランジェロが残したサン・ピエトロ大聖堂建設に関する書簡などがある。
さらに1789年にフランス革命で捕われの身となった王妃マリー・アントワネットの獄中からの手紙、第2次世界大戦中にユダヤ人迫害に十分介入しなかったことで後に批判された教皇ピウス12世についての文書など、欧州史に関心のある向きには見逃せない。
所蔵文書は全体で3万5000に上り、8世紀のものが最古という。ほとんどがラテン語で書かれているが、ペルーのクスコの宗教団体に宛て1603年に出された書簡はケチュア語で書かれている。また1887年に北米の先住民(インディアン)首長から送られた書簡は樹皮に書かれたものでレオ13世を「祈祷者の大首長」と呼んでいる。
外交文書はバチカン独自の暗号で書かれたものもある。その最古のものは14世紀前半にまでさかのぼる。
パウロ5世によって1612年創設された機密文書館だが、レオ13世が1881年、学者に開放するまで、人目に触れることはなかった。現在では毎年訳1500人の学者、研究者が訪れている。