4日、米ニューヨーク国連本部で開かれた安全保障理事会で、シリアを非難する決議案が、常任理事国である中国とロシアによる拒否権発動で否決されたことを受け、シリア国内では反体制派の弾圧を続けるアサド政権による弾圧がさらに激化するに至った。米CNNによると、少なくとも74人がアサド政権による暴力で死亡、米国は在シリア大使館を閉鎖し、英国も駐シリア大使を召還したという。
CNNによると、4日の国連安保理でスーザン・ライス米国連大使は、欧米各国およびアラブ諸国がシリアでの民間人の流血が生じる紛争に終焉をもたらすために提案した決議案に対しロシアと中国が拒否権を発動した後「この問題を平和的に解決するための努力が妨げられたため、さらなる流血が生じることになるでしょう。シリア国民は国連安全保障理事会と国際共同体によってまたもや見捨てられることになってしまいました」と述べたという。
国連安保理が開かれた4日にドイツミュンヘンに滞在していたクリントン米国務長官は「この決議案が否決されることはシリアの地に更なる恐怖が生じる責任を負うことになるでしょう」と述べた。
国連安保理の決議案に対し15カ国中13カ国は賛成した一方、ロシアと中国が拒否権を発動した。米国、フランスおよびイギリスはアラブ連盟によるシリアの政権移行プランを実行していくことにも賛成票を投じていた。
仏国連大使のジェラルド・アラウド氏は「現行のシリア政権を保護するすべての人々は『歴史によって厳しく裁かれるだろう』」と非難した。一方で、シリアの国連大使バシャル・ジャファリ氏は今回米英仏などが作成した最終的な決議案に対して、「シリアに対する陰謀だ」と非難している。ジャファリ氏は「シリア政権を追いやるためにいくつかの国々がシリアでの紛争を意図的に作り上げた」と主張している。ロシアは「国連安保理はひとつの紛争に対して、一方に加担するべきではない」と述べている。
安保理のシリアに対する非難決議案投票前に、オバマ米大統領は、国連がシリア国内で行われている残虐な紛争を非難するように促しており、「昨日シリア政府は中部ホムスで数百人ものシリアの民間人を殺害しました。その中には女性や子供たちも含まれています。シリア軍はさらに負傷した数百人の民間人が医療支援を受けるのを妨げ続けています。アサド政権は殺戮、自国の国民に対する犯罪をただちに止めなければなりません。政権を退き、直ちに民主的な政権への移行を始めなければなりません」と声明文で発表していた。
国連によると、昨年3月のアサド政権に対する反体制デモが生じて以来、少なくとも5400人が殺害されたという。今後決議案の否決に伴い、死者数はさらに高まるものと懸念されている。
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