日本キリスト教海外医療協力会(JOCS)のカンボジア活動報告会「村のお母さんと赤ちゃんの健康を守ろう!」が30日、東京・渋谷のJICA地球ひろばで開催された。04年7月から07年1月まで、現地NGO「JOCSカンボジア」の代表をつとめてきた諏訪惠子看護師を中心に、カンボジアでの活動内容やこれまでの活動で得られた成果を報告した。
報告会では初めに、JOCSの大江浩総主事がJOCSの活動全般について、またカンボジアプロジェクト担当の名取智子氏が、JOCSのカンボジアにおけるこれまでの活動の流れについて説明した。
その後、諏訪看護師がプロジェクターを用いてカンボジアの一般事情や保健状況、歴史的な背景などを説明。また、カンボジアでの中心的な活動となった、無資格の伝統的助産婦(以下TBA※1)に対して適切な助産介助のトーレーニングや教育などを行う「伝統的助産婦包括的プログラム(以下TIP※2)」、TIPが始まるきっかけとなった「プライマリ・ヘルス・ケア(PHC)プロジェクト」に関して報告をした。
報告では、まだ手探りの中、97〜01年の5年間行ったPHCプロジェクトの活動によって、TBAに対する活動の有効性が浮上し、TIP開始につながったことが紹介された。また、TIPの具体的な内容として、「TBAとの月例会議」「TBAへのトレーニング」「TBAによる物品共同購入管理」「TBAによる妊婦教室」からなる「TBAパッケージ」と名付けられた活動を説明。02〜06年の5年間にわたったTIPによって、保健問題に対するTBAの意識が向上したことや、以前は見られなかった妊婦へのケアが行われるようになったことなど、具体的な成果を伝えた。
報告後の質疑応答では、昨年に活動を終了したTIPの現地人への引継ぎに関してや、JOCSがこれまで行ってきたプロジェクトの対象課題、地域を決定するに至った経緯について質問が出されるなど、参加者の関心の強さがうかがえた。
諏訪看護師による報告会は来月中旬まで行う予定。来月2日には、JOCSの関西事務局がある大阪聖パウロ教会(大阪市北区)での報告会が予定されている。
※1 Traditional Birth Attendant
※2 TBA Integration Program