日本語聖書の新訳版として『現改訳聖書』がいよいよ来年中の発売見通しとなっている。「聖書は神の言葉」とする言語霊感の立場を堅持し、読みやすく理解しやすい翻訳を目指して、発行元となる日本聖書出版会(奥山実会長)が01年に発足。発足10年後の来年中には翻訳が完了し、発売が見込まれている。初版の印刷には約4千万円が必要で、同会では準備費用約2千万円を献金で、初版印刷費約2千万円を予約注文でまかなうとして協力を呼びかけている。
現改訳聖書の構想が持ち上がったのは98年。文体および聖書の内容が解る日本語での訳出、聖霊派の聖書解釈、ユダヤ性の回復、という3つの大枠を持った日本語の新訳版聖書として、その展望が与えられた。00年には翻訳を行う現改訳聖書翻訳委員会を、奥山氏を委員長としてスタートさせることで決まり、翌年3月から具体的な翻訳作業が開始された。
奥山氏は新しい訳の聖書が発行されることについて「これは全く信仰から出たこと」と強調。「会堂建築と同じように、お金がどこから来たからやるのではありません。主の御業は、まずビジョンが与えられる。そして信仰をもって踏み出すと、その必要が満たされるのです」と言い、ビジョンの共有と、必要となる費用のために協力を呼びかけている。
現改訳聖書は、「一般型」(B6版、縦182×横128ミリ、予約特価4300円)、「ビジネス版」(縦176×横112ミリ、予約特価2800円)、「スタディー・バイブル型」(A5版、縦210×横148ミリ、予約特価7200円)の3つの版型で発売される予定で、それぞれ共通して、旧約・新約とも原語で書名を表記、新約聖書では旧約からの引用を太文字で表記、旧約引照箇所を明記、イエスの言葉を赤字で表記、を特徴としている。一般型、ビジネス版では、カラー地図16ページが付き、スタディー・バイブル版では、旧約でのヘブル名の意味表示、小見出し挿入、引照箇所の欄外明記、必要な原語のヘブル語・ギリシア語表記と解説、脚注での主要な単語解説、がある。
出版には、翻訳費、編集費、DTP制作費、宣伝費などの準備費用として約2千万円が必要で、初版だけでも印刷費として約2千万円が必要だ。準備費用は献金でまかなう予定だが、印刷費は予約注文で対応する計画で、一般型、ビジネス版、スタディー・バイブル型の3冊がまとまった聖書セット(予価1万4300円)の予約が1400セット分集まれば十分な金額。
同聖書の翻訳は、(1)原語に忠実な訳出、(2)地名・人名は定着した読み方を採用、(3)旧約はBHS(Biblia Hebraica Stutt gartensia)を底本とし、新訳はネストレ27版にこだわらずに独自に校訂、(4)「主」と表記されてきた神の名については「主」に「ヤーウェ」とルビを振ることで神名であることを明確化、(5)「神」と訳されてきたエロヒーム(ヘブル語)、セオス(ギリシャ語)は、神々と区別するために太文字で「神」と表記、(6)一般型、ビジネス版では従来の聖書と同じ配列、スタディー・バイブル版では旧約はヘブル語聖書の順に、新約は執筆成立年代順に配列、などを原則に進められている。
また、当時の日本語文章に一つのモデルを示したなどとして高い評価を受けた文語訳聖書のように、日本文学に影響を与えるような美しい日本語の創設を目指している。
現改訳聖書発行のための献金は、日本聖書出版会(郵便払込:00150‐6‐10849、郵便電信振替:記号10140・番号44248991、銀行振込:ゆうちょ銀行 〇一八(ゼロイチハチ)支店(普)4424899)まで。予約注文は、同聖書のウェブサイトで受け付けている。