米国内のユダヤ教指導者らはパレスチナ独立国家承認について懸念を示している。オバマ米大統領が今年初めに、1967年のイスラエルとパレスチナの境界線に基づいて今後の議論を進めていきたいと言及していた。このことがユダヤ教指導者らに誤認され、オバマ米大統領の2012年大統領選へのユダヤ教指導者らの支持が危ぶまれるようになっていた。
オバマ米大統領は、国連総会においてパレスチナ和平問題について「何十年も続いたこの問題に対するいかなる解決法の近道もないことを認識しています。平和は国連による声明文や決議案によって生まれるものではありません。そのような簡単なものであるなら、この問題はこれまでに既に解決されていたでしょう」と述べた。
オバマ米大統領の演説が終わって数分後にイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相はオバマ米大統領の演説の内容を称賛し、「オバマ米大統領がイスラエルを支持し、また平和を支持してくださったことに感謝いたします。私たちはパレスチナとイスラエルが引き続き交渉を続けることで合意しています。交渉こそが持続可能な平和のための唯一の方法です」と述べた。
米政府としてはパレスチナ独立国家の承認、国連加盟について拒否権を発動する方針であるものの、ホワイトハウス内では拒否権を回避するためのあらゆる方向性について検討がなされている。
オバマ米大統領は「平和は私たちの演説や投票の結果を見ながら、長い間共に暮らしている人々が共に妥協し合ってこそ生まれてくるものです」と述べた。
オバマ米大統領はこの2年半の期間において、パレスチナ和平問題で進展を図ることが難しく、そのことがユダヤ教指導者らの支持を遠のけていた。今回の国連総会でのオバマ米大統領の演説では、パレスチナは独立国家承認と国連加盟の動きを示す前に、まずイスラエルとの交渉を優先させるべきであるという立場をはっきりさせ、「このようなこう着状態は、当事者間が共に話し合ってのみ解決されるものです」と述べるに至った。
オバマ米大統領のパレスチナ独立国家としての国連加盟への動きに慎重な姿勢は、国連総会において反感を示す人々も多く存在した。パレスチナ自治政府のアッバス議長は、オバマ米大統領の演説に対し失望感を示した。
オバマ米大統領はパレスチナの独立国家承認について「一年前、私はパレスチナ国家の独立を国連総会の席で呼びかけました。その時も今も信じていることではありますが、パレスチナの人々は彼ら自身による独立した国家を持つに値する人々です。しかし私が指摘したいのは、真実なる平和というものはイスラエルとパレスチナの人々同士が互いに同意し合って初めて実現されるのだということです」と述べた。
パレスチナが独立国家として国連に加盟する動きに米政府が拒否権を発動することで、中東での米政府への反感が高まり混乱が生じることが懸念されている。同日フランスのサルコジ大統領は、一般討論演説においてパレスチナとイスラエルが国際社会の同意を得た上で1年以内に和平合意に達するべきであると言及した。