1日、在日本韓国YMCA(東京都千代田区)で、関東大震災第88周年記念追悼合同早天礼拝が行われた。在日大韓基督教会横浜教会牧師の李明忠(イ・ミョンチュン)氏がルカの福音書10章25節から37節を引用し、「憐れに思う心」と題して説教を行った。礼拝後には、朝食を共にしながら日韓キリスト者が互いに交わりの時をもった。
今から88年前の1923年9月1日に発生した関東大震災の混乱の中で、朝鮮人武装蜂起などの流言が拡大し、警察、軍隊、自警団による朝鮮人に対する空前の虐殺事件が生じた。一方で、礼拝の説教の中で李明忠氏は「(当時朝鮮人が虐殺されている中にあって)必死に朝鮮人をかくまった日本人の姿があったことを忘れていけません。私たちも同じように『憐れむ心』をもっているでしょうか?これが無くなることによって、国同士や、異なるアイデンティテイを持つ人たちが敵対するようになってしまいます。歴史を超えてキリストの御言葉を実行するには『憐れに思う心』が必要です。今隣人となっている兄弟姉妹を愛し、隣人を愛することができますように。日本と韓国が共に生きていくことができますように」と呼びかけた。
説教本文の箇所では、追いはぎに襲われて、殴りつけられ、半殺しにされた人を当時のユダヤ人の中で異邦人とされ付き合いが断絶されていたサマリア人が憐れに思い、介抱した姿が書かれている。
李明忠氏は「個人のアイデンティティやそれぞれの国のアイデンティティの壁を打ち壊し、キリストにあって大きな働きを起こすきっかけは『憐れに思う心』にあるのではないか」と述べ、本文に出てくる「憐れ」という言葉の原語は「はらわたがちぎれるような思い」という強い意味合いを持つ言葉であることを説明した。東日本大震災で苦境の状況に置かれた被災者たちに対しても、88年前の関東大震災で、虐殺の被害を受けた朝鮮人を憐れに思って必死にかくまった日本人が確かに存在していたことを覚え、同じように「憐れに思う心」を発揮することで大きな働きを起こされていくことを願い、日本と韓国のキリスト者が、キリストの御言葉を実践する者としてこれからも互いに愛し合う関係を築いていくことを呼び掛けた。
クリスチャントゥデイからのお願い
皆様のおかげで、クリスチャントゥデイは月間30~40万ページビュー(閲覧数)と、日本で最も多くの方に読まれるキリスト教オンラインメディアとして成長することができました。この日々の活動を支え、より充実した報道を実現するため、月額1000円からのサポーターを募集しています。お申し込みいただいた方には、もれなく全員に聖句をあしらったオリジナルエコバッグをプレゼントします。お支払いはクレジット決済で可能です。クレジットカード以外のお支払い方法、サポーターについての詳細はこちらをご覧ください。
人気記事ランキング
-
鈴木結生著『ゲーテはすべてを言った』 牧師の息子が書いた芥川賞受賞作
-
カトリック作家の曽野綾子さん死去、93歳
-
日本人に寄り添う福音宣教の扉(217)弱さの極限(エンディング)に寄り添う 広田信也
-
レント初日の「灰の水曜日」 ドライブスルーで灰を授ける教会も
-
バイセクシャルの黒人女優シンシア・エリボがイエス役に 配役巡り批判の声も
-
花嫁(21)希望よ 星野ひかり
-
主は生きておられる(235)昭和は遠くなっていく 平林けい子
-
ワールドミッションレポート(3月8日):トルコ 震災被災者の間で、聖書の書き写しを通して働く神
-
ウクライナの従軍チャプレン、兵士たちを支える自身の役割語る
-
ワールドミッションレポート(3月9日):タンザニア ザンジバル島のために祈ろう
-
日本は性的人身取引が「野放し」 支援団体代表者らが院内集会で報告、法規制強化を要請
-
カトリック作家の曽野綾子さん死去、93歳
-
教会で斬首されたキリスト教徒70人の遺体見つかる コンゴ東部北キブ州
-
バイセクシャルの黒人女優シンシア・エリボがイエス役に 配役巡り批判の声も
-
熱心な仏教徒の青年が救われた実話がベースに 伝道用トラクトを無償提供
-
「苦しみ」と「苦しみ」の解決(2)見える困難に「苦しみ」を覚えるメカニズム 三谷和司
-
リック・ウォレン牧師、十字架にまつわるSNS上の政治的投稿を削除し謝罪
-
鈴木結生著『ゲーテはすべてを言った』 牧師の息子が書いた芥川賞受賞作
-
レント初日の「灰の水曜日」 ドライブスルーで灰を授ける教会も
-
良い心配と悪い心配 菅野直基
-
日本は性的人身取引が「野放し」 支援団体代表者らが院内集会で報告、法規制強化を要請
-
カトリック作家の曽野綾子さん死去、93歳
-
教会で斬首されたキリスト教徒70人の遺体見つかる コンゴ東部北キブ州
-
熱心な仏教徒の青年が救われた実話がベースに 伝道用トラクトを無償提供
-
バイセクシャルの黒人女優シンシア・エリボがイエス役に 配役巡り批判の声も
-
「苦しみ」と「苦しみ」の解決(2)見える困難に「苦しみ」を覚えるメカニズム 三谷和司
-
リック・ウォレン牧師、十字架にまつわるSNS上の政治的投稿を削除し謝罪
-
鈴木結生著『ゲーテはすべてを言った』 牧師の息子が書いた芥川賞受賞作
-
レント初日の「灰の水曜日」 ドライブスルーで灰を授ける教会も
-
良い心配と悪い心配 菅野直基