新約聖書は2010年8月刊行、この7月に新旧約合本がアビンドン・プレスが版元となって発売された。ただ出足は好調で、すでに3刷に入り印刷部数は総計50万冊に達している。外典付きも刊行される。6月にはデジタル版も公開され、ダウンロードが可能。トゥイッターやフェイスブックでも読み出せる。
訳出には、対話を意図し、対極的な立場に立つ聖書学者が24教派120人参画したが、プロテスタント各派だけでなくカトリックからも12人が加わった。さらに翻訳を評価するため77グループ500人以上が参加、各グループで聖書を1節ずつ読み上げ、あいまいに受け取られる箇所を指定、それを元に訳出しなおした例もあるという。教会指導者や出版編集者の意見も聞くなど、関係者は結局700人を超えた。
訳出には、最近の米国の言語動向を反映してか、人間を意味するほかに男を意味する「マン」を避け「ヒューマン」に置き換えている例が創世記2章22節「人から抜き取ったあばら骨で女を造り上げられた」(日本語は新共同訳)などに見られる。キリストも「人の子」であるよりは「1人の人」としている(マタイによる福音書10・23)。
「主なる神は、土(アダマ)の塵で人(アダム)を形づくり、その鼻に命の息を吹き入れられた。人はこうして生きる者となった」(創世記2・7)では、「土の塵」の代わりに「肥沃な土地の表土」と記している。
印刷版にはナショナル・ジオグラフィック協会の多色地図を収録している。