キリスト教の価値観に基づき妊娠中絶や同姓愛、ポルノに強く反対し、政治的にも大きな影響を与えた米キリスト教右派の指導者ジェリー・ファルウェル師が15日、バージニア州の病院で死去した。73歳だった。
AP通信が報じたところによると、同日午前10時45分頃、ファルウェル師は自身が設立した同州リバティー大学の事務所でぐったりしている状態で発見された。直ちにリンチバーグ総合病院へ運ばれたが間もなく死亡。死因については不明であるが、心臓病を患っていたとされている。05年初めにも2度、深刻な健康上の問題で入院していた。
ファルウェル師は1956年、22歳でトマス・ロード・バプテスト教会を信徒35人と共に設立。今では信徒数が約2万4千人に達し、米国でも指折りのメガチャーチの一つとなっている。
79年には、妊娠中絶の権利を認めた決議に反対し、ロビー組織「モラル・マジョリティー(道徳的多数派)」を結成。会員は650万人と、保守政治家の助けなどにより大きく成長した。87年からは活動を中止するが、同性愛や妊娠中絶などの問題が再燃し始めた04年に、「モラル多数派連合」と改称し活動を再開した。
83年には米誌「U.S. News & World Report」で米国で最も影響力のある25人の1人に選ばれ、「キリスト教右派の顔」としてテレビ番組にも多数出演。しかし、その極端的な発言で多方面から批判を浴びることも多かった。