キリスト教精神に基づいて人道支援や緊急援助、政策提言を行うワールド・ビジョン・ジャパン(WVJ)は29日に同事務所(東京都新宿区百人町)にて開催されるワールド・ビジョン・カフェで「アドボカシー」をテーマに取り上げる。
「アドボカシー」はワールド・ビジョンが貧困や不平等の解決を目指し、貧困や抑圧の中にある人々や子どもたちの声、顧みられなかったり、かき消されてしまいがちな「弱き声」を政府や有権者である市民へ取り組む大事な働きである。
キリスト教の信仰に基づいて災害・飢餓支援を行う国際飢餓対策機構スタッフの吉田知基さんは、被災宅での泥出し作業という重労働と引き換えに、被災者との温かい関係や地元の人からの優しさや厚意を受ける体験を通して「このように労苦して弱い者を助けなければならないこと、また、主イエスご自身が、『受けるよりも与えるほうが幸いである。』と言われたみことばを思い出すべきことを、私は、万事につけ、あなた方に示してきたのです(使徒20・35)」という御言葉が思い出されたという。吉田さんは「被災地では思いやりの心と感謝の気持ちが至るところであふれにあふれています。『復興』以上の復興がここにはあるのかもしれません」と述べている。
各国政府がそれぞれの国の社会問題に対し果たすべき責任があることは、国連の子どもの権利条約などの国際人権諸条約や、ミレニアム開発目標などの国際的な枠組みで合意・約束されている。ワールド・ビジョンでは子どもたちの健やかな成長や保健・教育などへの公的サービスへのアクセスが保証されるように、地域、国家、国際社会など様々なレベルの政策決定者に困難な環境にあるコミュニティの人々の声を届ける働きを行っている。
日本でも東日本大震災を通して、これまで当たり前と思っていた電気・水道などのライフラインや公的な社会サービスについて、改めて考える機会が与えられた。これまで海外の発展途上国で生じている遠い出来事と思えていたことが、自国で震災が生じることで、改めて現地のニーズや「弱き声」を届ける必要性が日本国内でも再認識されることになった。東日本大震災被災地の他にも、世界では支援や公的サービスを求めている子どもたちや地域の人々が多数存在している。これらの人々の「代弁者」としてキリスト教精神に基づいた国際NGOが「声をあげる」ことの価値が改めて問われている。
カフェ当日は、WVJスタッフがインドネシアで出会った地域の保健ワーカーとのエピソードや世界中のアドボカシーの様々な事例、6月に東京で開催されたミレニアム開発目標フォローアップ閣僚級会合について報告する予定であるという。世界中の貧困や抑圧の中にある人々の「弱き声」を政府や有権者に届ける役割を果たす「アドボカシー」は「受けるよりも与える方が幸い」というイエスの御言葉をまさに実感できる活動といえる。東日本大震災支援を通して多くの被災地支援活動家らから報告されている「与えるほうが幸いである」と言う御言葉の実践が世界レベルに飛躍し、関心がもたれることが期待される。
*ワールド・ビジョン・カフェ詳細はWVJホームページまで。
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