先週末に誘拐され、10万ドルの身代金が要求されていたイラクの男性クリスチャンが遺体で発見された。
殺害されたのは、カルデア人のクリスチャン、アシューア・イッサ・ヤクブ(29)さん。石油産業で栄えるイラク北部の都市キルクークで、警察によって殺されているのが発見された。3人の子どもの父親であるヤクブさんは、同都市で働く建設作業員だった。
国際テロ組織アルカイダとの関連が指摘されている犯人らは、ヤクブさんの家族が身代金を用意できなかったとして、ヤクブさんを殺害したと見られている。
キルクーク県警のジャマル・テイハー・バクル署長は、今回の誘拐殺害事件を非難し、AFP通信に対し「巡回中の警察員が若いクリスチャン男性の死体を発見した。彼の頭はほとんど完全に切り落とされていた状況だった」と語った。また、同県の保健官であるサディク・オマー・ラサル氏は、遺体には拷問の跡が見られると指摘している。
人権団体は、急進的なイスラム過激派が同国内のキリスト教徒を攻撃し、同国内からキリスト教徒が壊滅してしまうのではないかと危機感を募らせている。
昨年10月には、アルカイダとの関連が指摘される武装した集団が、バグダッド市内の教会に押し入り信徒らに発砲。キリスト教徒58人が殺害される事件が発生している。今回の誘拐殺人事件は、イラクで少数派となるキリスト教徒に対してさらに恐怖を与えるものとなった。