「自分も傷ついていたから、でも言葉によって癒されたから。癒しのために、自分のためにではなくて、人に見てもらうために」
小田急線・相模大野の駅前の路上で、オリジナルのイラストやグッズを販売しながら聖書の「言葉」による愛と癒しを伝えるクリスチャン・アーティスト、小倉香織さん。今年のゴールデンウィークには銀座のギャラリー「S.c.o.t.t」でグループ展を開催した。
神さまのために働きたいという思いは小さい頃から持っていた。中学三年生の時、イラストレーター太田朋(http://www.shiawasenotane.com/)が描く絵と出会い、苦しんでいた自分のこころが癒された。渋谷の路上を中心にイラストを販売するアーティスト「ハタタケル」(http://www.hatatakeru.net/profile.htm)との出会いもその後の人生に大きな影響を与えた。「何千人という人の悩みや相談を聞いて文字とイラストで励ましているこういう人たちを知って、ああ、人を癒すにはこんな手段もあるんだ、と思いました」
与えられた賜物(たまもの)を使って何かしたい―高校卒業後の進路を考えていたとき、イラストで人を癒す道を選んだ。「より多くの方とコミュニケーションを取れるのはイラストかなって、そこからはじめました」
小倉さんの絵にはパステルや水彩画が多い。ほとんどが下書きなしで描き始めるというその作品は、路上で思わず立ち止まる一人ひとりのこころに一つのメッセージを投げかける。
「美大に受験する前でした。いろんなきっかけが重なり、衝動的に誰かを『癒したい』と思って路上(販売)をはじめました」最初は原画を50円で販売した。初日からイラストを見たお客さんが話しかけてくれた。
「イラストを見て『かわいいですね』と話してくれたり、仕事帰りのサラリーマンの方が『癒されました』とか『元気でました』と言ってくれて。『毎日仏壇の前に香織ちゃんの絵を取り替えて置いているんです』という、お子さんを亡くされたお母さんもいました」
路上での一つひとつの出会いが小さなコミュニティを作り上げ、「癒し、癒される」関係が広がっていく。ギャラリーの展示にも路上で出会った人々が度々訪れる。
路上ではダイレクトに伝えるが、展示会ではあまり神さまを強調していない。普遍的なメッセージを扱ったイラストが多い。「これはどういう言葉なんですか」と聞かれたら、「これは私が影響を与えられた言葉で・・・」と切り出して神さまを伝える。「『聖書にはこういう言葉もあるんだ』と知ってもらえたらいいと思います。結果的に神さまを伝えることになるんです」
ギャラリーに来るほとんどは、アーティスト関係者や芸術に関心を持った人。プロとしての力量が試される。ギャラリーでは路上とは違う緊張感があり、路上にはギャラリーにはない、いのちのやり取りがある。「路上は続けていきます。人とコミュニケーションしたいですから」
路上では、聖書に興味を持っている人や、クリスチャン、牧師が立ち止まって声をかけてくることも。「自分が書いているんですけれど、与えてくださったのは神さま。普通の絵だと受け取ってくれないかも知れないですけれど、神さまの力で何かをあたえてくれているんだろうなと思います。人の心を動かすのは神さまだから。今回の展示は、神さまにいままでやってきたことを認めてもらった感じがします」
「タイミングとフィーリングを大事にしているんですが、小倉さんはすぐに決まりましたね」とギャラリー「S.c.o.t.t」のオーナー益子新吾さん。「実は小さいころ、配っていた聖書をずっと持っていたことがあります」―ここにも神さまがちゃんと働かれていた。
小倉さんの作品はギャラリー「S.c.o.t.t」(http://www.ginza-kosin.com/)でも購入できる。問い合わせは、メール([email protected])まで。