教育協力NGOネットワーク(JNNE)と国際協力機構(JICA)が、10日、JICA国際協力総合研修所の国際会議場で、「EFA(Education for All:万人のための教育)グローバルモニタリングレポート・ラウンチングセミナー2007」(後援:外務省、文部科学省)を開催し、学生、大学職員、一般企業人、各団体の職員など、計161人が参加した。
同セミナーは、EFAに関する国際的な取り組みの進捗状況を、昨年10月にユネスコがまとめた「EFAグローバルモニタリングレポート2007年版」の内容に関して、報告や議論をするシンポジウム。同レポートが今年初めて日本語に翻訳されたことを記念し、今回の開催に至った。
グローバルモニタリングレポート作成チームの責任者であるニコラス・バーネット氏が基調講演を行い、EFA達成の進捗状況について報告した。そのほか、EFA達成に取り組んでいる市民社会組織の連合体であるグローバル・キャンペーン・フォー・エデュケーションのマリア・カーン氏など、国内外の代表者が市民社会の動き、NGOとJICAの取り組みについてプレゼンテーションを行い、2015年のEFA達成に向けた6つの目標の達成度を検証した。
モニタリングレポート07年度版によると、全世界の初等教育就学年齢児童のうち、未就学の児童の数は、04年時点で7700万人。1999年と比べて2100万人減少したことにより、EFAの取り組みが成果を挙げている事実が確認された。しかし他方では、世界で7億8100万人が最低限の識字能力を欠いていることや、地域や性別によって達成率にばらつきが見られることが判明し、問題点や今後の課題も浮き彫りにされた。
2015年までの目標達成が危うい現状を受け、ニコラス氏は「欧米諸国や日本などの先進諸国が、資金的な面で積極的に支援する必要がある」と呼びかけた。支援金は年々増加傾向にあるが、まだまだ不足している状態だという。セミナーでは、EFA達成のための最大の阻害要因の一つである学費問題の解決に向け、途上国が学費廃止に向けてより一層努力することや、先進国が資金的な面でサポートをしていくことなど、国際協力の重要性を再確認した。
JNNEは、今後、EFA達成に向けた取り組みの一環として、「『世界中の子どもに教育を』キャンペーン2007」を、4月3−15日に開催する。会場は東京都広尾にあるJICA地球ひろば。子どもたちの「学校に行きたい」という意欲を駆り立てるため、展示や催事を催すほか、人間すごろくなど数多くのイベントやアトラクションが予定されている。イベントの詳細はJNNEホームページ(http://jnne.org/)まで。
またJNNEは、「万人のための教育」に関する取り組みを、08年のG8サミットに向けた日本の役割として政府に提言する方針。サミットの議長国となる日本が、途上国を支援し、初等教育の完全普及を助成するように訴えかけていくという。