日本福音ルーテル教会は7日、信仰と職制委員会より「首相の靖国神社参拝に反対し、教会の平和創造への決意を明らかにする声明」を発表し、8月15日の小泉首相の靖国神社参拝を「国内外の戦争被害者の思いに反すること」と非難。また、憲法9条改定を求める政府の動きについても非難し、「この世界での平和創造のために祈り、学び、その働きに参加する決意」を表明した。
この声明では、まず、日本キリスト教協議会(NCC)が小泉首相の8月15日の靖国神社参拝について、「政教分離を定めた憲法違反であり、侵略戦争と植民地への反省に反する」として発表した抗議声明の趣旨に、全面的に同意する立場を主張した。
その上で、「戦争犠牲者たちがもっとも願っていることは、あの戦争はあってはならなかった、してはならなかった戦争だと日本と日本人が自ら総括し、反省し、その上で平和国家を形成し、相手国およびその国民との間に真の和解と信頼の関係を築くこと」とし、首相の靖国神社参拝を「国内外の戦争犠牲者の思いに反すること」と強く反対した。
そして、武力による紛争解決を放棄することを定めた憲法9条の改定に反対する立場を再び明らかにし、「戦争の愚かさと悲劇とを繰り返さないために、そして真の平和と和解を造り出すために、世界のキリスト者たちと手を携えまた平和を愛する人々と思いを一つにして、全力を尽くすことを教会の内外に表明します」と述べた。
日本福音ルーテル教会は、全国に135の教会があり、信徒数は7000人。また、2つの4年制大学と中・高校、3つの特別養護老人ホーム、29の幼稚園、21の保育所のほか、様々な障害者、青年、労働者支援など、32の社会福祉施設を運営している。ルーテル教会は現在、ドイツ、アメリカ、北欧諸国を中心に全世界でおよそ7000万人の信徒を抱える。