9日原爆投下より61年を迎える長崎では長崎キリスト教協議会に属する20の教会から長崎バプテスト教会に集まり原爆記念日礼拝がささげられた。長崎キリスト教協議会(福井博文委員長)は戦争の被害者か加害者かという責任追及の枠を超え、人間を狂わせる戦争において勝者と敗者はなく、すべての人が被害者である」ことを踏まえ、戦争のない世界を一人ひとりがつくり出すことを願うと語った。
長崎市内にあるカトリック浦上教会で、早朝6時から原爆犠牲者を追悼するミサが開かれ、およそ800人の信徒らが参加。犠牲者の慰めと平和の実現を願う祈りを捧げた。また、市内の平和公園では、「長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典」が開かれ、およそ4600人が参列。原爆投下時刻の午前11時2分、「長崎の鐘」や船舶の汽笛を合図に黙祷を捧げた。
1945年8月9日午前11時2分、長崎市の北方に位置する浦上地区の上空で、広島に次ぐ第2の原子爆弾が投下された。長崎は一瞬にして焦土と化し、推定でおよそ7万4千人が死亡、7万5千人が負傷した。愛する家族や友人を一瞬にして失った悲しみ、また後遺症の苦しみだけでなく、様々な差別を受けてきた被爆者たちの受けた心の傷は、あまりにも大きい。
長崎平和公園で開催された世俗の記念式典の中で、「平和への誓い」を述べた被爆者代表の中村キクヨさん(82)は、「私たちが生きている時代に平和な世界になってほしい」と平和への熱い願いを語った。
国同士の争いである戦争を治めるのは制度改革や外交ではなく王の王であられるキリストであるという認識が国際平和の根源となる。日本が戦争を覚えるとき世俗社会からは平和を求める声が上がるが、キリスト教界には日本人を含めたすべての人の心に福音が深く根ざす目標を達成して平和を実際に作る課題が課せられている。世俗社会でもできる平和希求にとどまることのない、切迫した宣教協力が求められる。