先月29日、米与党共和党のフリスト上院院内総務が「万能細胞」を利用する医療研究の規制緩和法案支持を発表したことに対し、米キリスト教保守派の間では反発の声が広がっている。共同通信社などが報じた。
クリスチャン・ディフェンス同盟のパトリック・J・マホーニー牧師は「フリスト氏を絶対に生命尊重の、また胚性幹細胞(ES細胞)尊重の財政的支援者にしてはならない。」と語った。また、アメリカキリスト者医科連盟代表のデイビッド・スティーブンス氏は「今回の上院議員の意向を非常に残念に思う。フリスト氏が胚性幹細胞研究の規制緩和法案を支持したことにより生きた人間が営利目的の商品とされてしまうだろう。生きたヒト胚性幹細胞を軽々しく実験材料として扱うことは生命倫理に触れいのちの尊厳を犯すことだ。」と述べた。
万能細胞の研究は、受精した人間の胚を殺して取り出して使用することから、各国で倫理的問題となり、米ブッシュ政権ではこれまで研究を厳しく制限してきた。
この問題に関し、日本カトリック司教団では2004年7月1日に出した公文書「人クローン胚作成容認反対声明」の中で、「人クローン胚の作成・利用は、たとえ人クローン個体産生が禁止され、その目的が研究・治療に限定されていても、大きな倫理的問題を含」むとし、「ヒト胚は受精(クローン胚の場合は、核移植)の瞬間から人間としての生命をそなえた個体であり、これを損なうことをめざす研究は、基礎研究であっても容認することはでき」ないとしている。