ヴォーリズ記念病院(滋賀県近江八幡市)の関川利幸院長らは9日、同病院の管理棟の「ツッカーハウス」解体問題について会見し、「保存を求める声に配慮し、ツッカーハウスは解体するが、復元を前提とする」と発表した。京都新聞などが伝えた。
昨年6月11日の財団法人近江兄弟社理事会で、ツッカーハウスのある場所が2006年開設予定のホスピス建設地に決まり、ツッカーハウスの解体が決まった。
解体に反対する「ツッカーハウス・大王松を守る会」(辻友子代表)は先月9日、関川院長らと直接面会した。同会ホームページによると、辻代表らは署名3500人分を手渡し、ツッカーハウスと大王松の保存を訴えた。反対運動を受け、近江兄弟社は今月4日、理事会で再協議を行った。
京都新聞が大島武久・病院事務長の話として伝えたところによると、ツッカーハウスを解体し、使用可能な建材を使って別地で復元、また大王松を伐採してホスピスの家具等に利用することが決まった。
これに対し、守る会は「現在の場所に残さないと意味がない」と反発。反対運動を継続する意向を表明している。同会は保存活動基金を集めるため、2種類の絵はがきを作成した。(1セット100円)
辻代表は「ヴォーリズが使ったメガネやカメラは現在も残され、それらを通してヴォーリズを感じることができる。ハウスも、ヴォーリズが活躍した空間として保存されるべき」と主張。ツッカーハウスの解体はヴォーリズの歴史的評価と相反すると話している。