イラクの武装勢力「アンサール・スンナ軍」を名乗るグループが9日未明、イラク西部アンバル州ヒート近くで日本人男性を拘束したとする犯行声明をウェブサイト上に出した。
声明によると、「アイネル・アサド米軍基地」から出てきた欧米のちょう報関係者らの車列と、イラク西部のヒート近郊で激しい銃撃戦になり、武装勢力側が多数を拘束したという。その際、米軍ヘリコプターが飛来したため、「捕虜」らを殺害したが、重傷を負った日本人の男性一人は拘束中としている。車列の車両に乗っていたのは「イラク人12人、外国人5人」という。報道各紙が9日から10日にかけて報じた。
ウェブサイト上には、拘束された日本人の東京都で発行されたパスポートなど人物の特定につながるデータが掲載されているもよう。データからは1961年生まれの斎藤昭彦さんと読める。パスポート番号などから、外務省は武装勢力がインターネットで流した斎藤さんの旅券を本人のものと確認した。同省幹部は「(斎藤さんとみられる)男性の両親が写真を見て『息子のようだ』と語った」と明らかにした。政府関係者によれば、斎藤さんは元陸上自衛隊員で、21年間にわたってフランスの外国人部隊に勤務していたという。
「アンサール・アルスンナ軍」はイスラム・スンニ派を中心とし、昨年から今年にかけて暫定政府関係者・施設などを狙った自爆テロや人質誘拐・殺害などを繰り返している組織。イラク国民議会選挙への不参加を呼びかけるなど民主化を阻止する姿勢を示している。今年1月にイラク国家警備隊を襲撃して隊員15人を殺害し、声明で「彼らは十字軍(多国籍軍)とともに犯した罪を告白したので、神の法を執行(処刑)した。神とその預言者(ムハンマド)と戦い、キリスト教徒を助けるすべての輩への見せしめとする」などと主張していたという。