兵庫県尼崎市のJR福知山線で25日朝に起きた快速電車の脱線事故で、尼崎市消防局などは26日午前7時半までに、計72人の死亡を確認した。大破した車両からの救出作業は夜通し続き、これまでに救出された人のうち負傷者は441人となった。
報道各社によると、電車はJR福知山線の宝塚発同志社前行きの快速電車=7両編成、乗客乗員約580人、高見隆二郎運転士(23)=で、先頭5両が脱線し、このうち2両が線路脇の9階建てマンションに激突して大破した。
市消防局などによると、先頭車両は線路脇のマンション1階の駐車場部分にめり込み、さらに2両目が上に乗っているため、救出活動は難航。一部の報道によると、先頭車両から生存者が見つかり、26日午前零時すぎ、40歳代の女性1人を無事救出した。高見運転士は見つかっていない。
一方、尼崎東署捜査本部は「普段より速度が出ていた」との乗客の証言や、線路上に白い粉のようなものがあったことから置石の可能性もあるとして調査を進めている。現場の制限速度(時速70キロ)超過に加え、線路上の置石が複合的に脱線を誘発した可能性もあるとみて、実況見分や関係者の事情聴取を進めている。
42人が亡くなった1991年の信楽高原鉄道事故を上回り、JR発足以来最悪の惨事となった。兵庫県警は業務上過失致死傷などの疑いで尼崎東署に捜査本部を設置、運転や運行管理に問題がなかったか松下正俊車掌(42)らから事情を聴いている。