宗教改革国際博物館(スイス・ジュネーヴ)が07年度のヨーロッパ博物館賞を受賞したことが21日、明らかになった。
選定に当たった審査員は、同博物館が国際観を持ち、キリスト教だけに捕らわれることのなく全ての宗教に寛容的な姿勢を示している点を評価した。特に、観賞者との双方向的なやり取りを可能にしたオーディオ・ビジュアルなど最新の展示技術を採用し、当時の神学的思想体系を提示している同博物館の取り組みは、「勇気ある行動」として高い評価を集めた。
同博物館は、フランス人のジャン・カルヴァンが16世紀のスイスで起こした宗教改革を記念して設立されたもの。宗教改革の聖地とも言えるサンピエール大聖堂周辺に位置している。構想から45年の歳月をかけて建てられ、05年4月にオープンしたばかりだ。プロテスタント宗教改革にまつわる歴史的事実や数々のエピソードを記録した原書や原稿、絵画などが多数展示・保存されており、プロテスタンティズムの始まりから現在に至るまでの流れを一望できる。
宗教改革国際博物館が達成を目指して取り組んでいる目標の一つは、「世界中のあらゆる宗教とキリスト教の対話を促進させること」だ。「もしこの目標の達成に貢献できるなら、(同博物館が持つ)使命の一つを成し遂げることになる」と同博物館の館長を務めるイザベル・グラエスル氏は語っている。
一方同博物館は現在、カルヴァンの誕生から500年目を迎える09年に特別展示会を催すことを計画中だ。カルヴァンの宗教改革にルーツを持つ216の教会から構成されている世界改革教会連盟(WARC)と合同で記念式典を行うことも検討されている。そのことを話し合うための会議が先日15日から19日までジュネーブで行われ、WARCから50人の代表者が出席したという。
ヨーロッパ博物館賞は、「欧州文化遺産に関する理解を深めることに貢献した」と判断される博物館に、1977年から毎年与えられ続けている賞。ヨーロッパ地域の46カ国によって構成される欧州評議会の審査員によって決定される。06年度はロンドンにある「チャーチル博物館」が、また05年度にはビザンティン文化を展示したギリシャのテサロニケにある博物館が同賞を受賞している。