イラクのシリア正教会に属する司祭の遺体が先週、イラク北部のモスル近郊で頭部を切断された状態で発見された。
見つかった遺体は同教会の司祭、バウロス・イスカンダール師(59)のものと見られる。同師は先週月曜日の午後に誘拐され、行方が分からなくなっていた。
事件を報じた国際キリスト教連帯(CSW)は14日、マービン・トーマス同連帯事務局長の談話として「このような悲報を聞き愕然としている。イスカンダール師のご遺族、教会、ご知人に深い哀悼と祈りを傾ける」と述べた。
事件を報じたミドル・イースト・タイムズ電子版によると、同師の失踪後、誘拐犯とみられる人物から同師の長男に対し、身代金約35万ドルを要求する連絡があった。その後の交渉で、同人物はローマ教皇ベネディクト16世による「イスラム教に批判的な発言」をシリア正教会が公式的に批判することを条件に、身代金を4万ドルまで引き下げた。
条件を承諾したシリア正教会は、教皇の発言を支持しないことを告げる公告表示をモスル市街地の30か所に設置するほか、イスカンダール師の家族と協力して身代金のための献金を募っていた。
だが、火曜日夜になるとこの人物からの連絡が途絶え、翌朝、同師の切断された遺体がモスル中心地から2キロほど離れた市街地で発見された。
葬儀には市内のキリスト教諸教会から500人以上が参加したという。