アーサー・S・デモス財団(本部:米フロリダ州)によって、世界17カ国で無料配布されているノンクリスチャン向けの伝道小冊子「パワー・フォー・リビング(以下PFL)」に関する一連のキャンペーン活動が、先月31日をもって終了した。同キャンペーンは正月明けの1月第1週目から行われ、テレビCMや新聞・雑誌などメディアによる大規模な広報活動を通して日本中を一時騒然とさせた。しかし、すでにテレビCMなどを用いたPR活動が終了しているほか、31日にはホームページも閉鎖され、一般者を対象とした無料配布キャンペーンに終止符が打たれた。
一方、一般者からの個人申し込みは終了したものの、教会や宣教団体などキリスト教関係者からのPFLの受注と発行は今後も続けていく方針だ。キャンペーン期間中にPFLジャパンの責任者として受注の受付等を担当していた尾山謙仁師(ファミリーネットワーク日本代表)によると、現在も教会からの受注が相次いでおり、先週末には1万から2万の注文があったという。
尾山師によると、4月17日時点で175万部のPFLを全国各地に配布しており、現在は在庫切れの状態だという。しかし、注文が途絶えなかったため25万部を新たに印刷することになり(製本完了予定は5月上旬)、それらを合わせると国内の発行部数が200万部を超える計算になる。受注・発送業務を担当する新生宣教団(埼玉県)によると、1件あたりの注文部数は100部から数千部まで教会の規模や事情によって変動するという。一方、1万部以上の大口注文が入ることもしばしばあり、新生宣教団では受注・発送業務を効率化させるためにパソコンを数台追加したほどだ。
現在200万部を越える勢いで日本中の教会に出回っているPFLだが、キャンペーンの開始当初は発行部数が伸び悩んだ。そのことに関して尾山師は、「インターネットなどで本を注文するためには個人情報を入力しなければならなかった。キャンペーンの開始当初にマスコミで取り上げられたこともあり、『勧誘されるかもしれない』という不安があったのかもしれない。そのために、『本を読んでみたかったが注文しなかった』という人が多かったようだ」と分析する。
当初は、総額10億円以上とも言われている大規模な広報活動を通して100万部以上を配布する予定であったが、個人からの受注数が予想以上に伸び悩んだため(1月中にトータルで20万部)、1月末の時点でPFLジャパンはおよそ90万部の在庫を抱えることになった。「企画が完全に失敗してしまった」と尾山師は振り返る。このことはアーサー・S・デモス財団にとっても予想外の出来事だった。
そこでPFLジャパンは、余った在庫を伝道のために教会で用いてもらおうと考え、教会や宣教団体などキリスト教関係者からの一括注文を受けることにした。これまでアーサー・S・デモス財団はノンクリスチャンの伝道を目的とし、過去17カ国におけるPFLの配布キャンペーンでは一般者からの個人注文だけを受け付けていたが、今回日本で、初めて同財団の方針が覆されることになった。
このことに関して尾山師は、「当初の企画がうまくいかなかったことを通して主が導かれました。つまり主は、パワー・フォー・リビングによってまず日本のクリスチャン達を励まし、力づけられたということです。そして、その励まされたクリスチャン達の手によって、この本がノンクリスチャン伝道のために配布されることを願われたのでしょう。これが主のご計画だったのです。このことは誰も知りませんでした」と語った。
実際に、教会などキリスト教関係者からの注文を受け付けるようになった2月以降は注文数が急増した。3月下旬には発行部数100万部を突破。特に、大きな集会が多くなる復活祭を前にした3月末頃には、うわさを聞きつけた全国各地の教会から注文が殺到したという。同じ時期に、新生宣教団が、北海道日本ハムファイターズのヒルマン監督の証しが載せられたPFLの伝道トラクトを配布し始めたこともあり、トラクトの注文数の増加に伴ってPFLの注文も増加したという。
また、尾山師のもとには全国各地から数多くの証しが届けられている。新生宣教団のホームページにて閲覧できる証しの数々は、ノンクリスチャンからだけではなくクリスチャンからも届けられており、そのことからもPFLが未信者伝道のためだけではなく、クリスチャンたちを「励ます」ことに用いられたことがわかる。具体的には、「教会に新しく来た人に配布した」「路傍伝道の際に配布した」「葬儀の際に配布した」などの証しがあり、PFLが伝道活動のために各地で積極的に活用されている様子が読み取れる。
一連のパワー・フォー・リビングのキャンペーンを終えて、尾山師は、「今回のキャンペーンを通して、神さまは私たちの思いをはるかに超えてPFLを日本の福音化のために尊く用いてくださいました。日本のクリスチャン達が非常に喜び、そして励まされました。今後はその励まされたクリスチャン達がどのように活動していくかが日本宣教のカギになると思います。いま日本のクリスチャンたちが立ち上がり、PFLによって活気づけられた福音化運動をさらに拡大させていくことを願います」と語った。
また、今回大々的なキャンペーンを行ったアーサー・S・デモス財団については、「財団の働きにはただ感謝するばかりです。同財団は今までに17カ国で同様のキャンペーンを展開してきましたが、今回日本を選ぶように導いてくださった神さまに感謝したいです。彼らは献金を一切受け取らない主義を貫き通しました。PFLの宣伝活動、そして同冊子の印刷・発行にかかる費用を全額負担したのです。とても成熟したクリスチャンの姿を示してくれたと感じています。『受けるよりも与えることが幸いである』という聖書の教えを実践してくれました。本当に彼らは祝福を受けていると思います。そして、私たち日本人が彼らのためにできることがあるとしたら、それは、アーサー・S・デモス財団に働きかけてPFLを日本全国に配布させ、同冊子を通してこの国に福音を宣べ伝えさせた神さまに感謝することです。そして、私たちが日本でよりたくさんの実りを結ぶことだと思っています。たくさんの実りを結ぶことで財団に対して感謝の気持ちを伝えたいです。そのために、今いろいろな人たちの証しを集めています。とにかくアーサー・S・デモス財団の働きに心から感謝したいです」と語った。
なお、PFLの受注・発送業務は新生宣教団にて随時受け付けている。詳しくは該当ウェブサイト(http://www.nlljapan.com/pfl.htm)まで。