【ニューヨーク】前スーダン奴隷がニューヨークからワシントンD.C.まで約320kmの道のりを行進することで、スーダンにおいて数百万人もの人々が残虐行為を受けており一刻も早い解放が必要であることを訴えるための解放運動への支援を集めているという。
少年時代に誘拐されて以来、奴隷として働いたサイモン・ダン氏はキリスト教徒として3年以上にも亘る虐待、過労に苦しんできたと言う。彼の住んでいた村はアラブ人略奪者によって襲撃され、村人は生きたまま焼かれたという。 彼は家畜小屋で家畜と共に夜を過ごし、長距離にわたってロバを用いて水の入った瓶を輸送するなどの過労を強制されていたという。しかし彼がイスラム教徒に改宗すればそのような過酷な扱いはこれ以上行わないとも言われたが、彼のキリスト教への強固な信仰心のため改宗を受け入れなかったと言う。
現在ダン氏はニューヨーク市の住民となり、米国25万人のスーダン国民の指導者としてスーダンで実際に起こっている奴隷制度の解放に向けて運動を起こしている。
ダン氏はスタテン島エリムクリスチャンアッセンブリーに対し、「私は常にテロの脅威にさらされてきました。慈悲を求めて泣き叫んでいました。しかし常にスーダンでは慈悲というものはありませんでした」と訴えた。
エリムクリスチャンアッセンブリーの牧師カルロス・オルティス氏は、一年前のアフリカの危機について唯一実際に良く知る牧師であるという。
オルティス氏は米クリスチャンポストに対し、「ルワンダにおいて生じた事件がきっかけでついに現状を知りました。アフリカにおいて多くの耐え難い奴隷問題、虐殺問題が生じているにもかかわらず、その対策はほんの少ししかなされていないのです。このような現状の中、私たちがサイモン・ダン氏のような人を私たちのコミュニティに招きいれることで、私たちのほとんどが認識しないまま実際に存在している制度、奴隷制度について深く考える良い機会があたえらられ、また共に活動することもできるだろう」と述べた。
スーダンでは1955年から1973年の間に150万人以上もの人々が殺害されている。それから20年経って、200万人がさらに殺害された。2003年に始まった虐殺ではさらに30万人以上の死者を出したという。
ダン氏は、「人間として私たちは何でもできる、しかし何もしないのが最も悪いことだ」と述べた。
オルティス氏とその他数人の地元教会団体指導者らはつい最近このような非人道的虐待行為に対して活動を始めたばかりだという。
ダン氏のような犠牲者であり提唱家でもある人の意見を聞くことで、実際にどんな活動をするべきかを具体的に決めることができる。オルティス氏は、「私たちは何かをすべきだ」と主張した。
オルティス氏によると、奴隷制度をより広い視野でみればこのアフリカにおける問題は「巨大な人道問題」であり、人間の扱い方について広く考えさせられるものであるという。
オルティス氏は、「奴隷問題の根は深い。そこには経済的な問題、集団虐殺問題が絡んでいる。また現地の過激派イスラム教徒が宗教の面でアフリカ人の自由を奪おうとしている。今アフリカに根づいている問題は一つではない。虐殺や虐待は今もまだ続いている」と語った。
ダン氏はニューヨークにおいて3月15日から4月5日にかけて、奴隷制度や集団虐殺の現状について公に知ってもらおうとスーダン解放運動を計画している。