アメリカの先駆的宗教団体は世界教会協議会(WCC)に対し、福音を広めることよりも社会問題へ過剰に活動の焦点が当てられていると批判している。
米国先駆的宗教団体“The Institute on Religion and Democracy(IRD)”の役員は第9回WCC総会について、世界教会機関が福音を広めることよりもむしろ社会問題対策に熱心であることを示す結果となったと指摘した(AP通信)。
先月WCC加盟教会の350人の教会指導者が集合した第9回総会では、テロリズム対策のための軍事対策法やイスラム−キリスト間の対話を促進すること、WCC内でのエキュメニカルな関係を深めることなどという福音の伝播よりもむしろ社会問題に焦点が当てられたとして批判を受けているという。
IRDユナイテッドメソジスト実行委員会理事長マーク・トーリー氏は、今回のWCC総会では社会問題について世界に警鐘を鳴らす役割は果たしたが、福音伝播を拡大する動きには大きく寄与しなかったとし、「残念ながら少なくともこの40年間、世界教会協議会はキリスト教福音主義やエキュメニズムに焦点を置くよりも、神学的な事柄、しばしば反欧米、反アメリカ主義ともいわれるラディカルな左翼的思想に流されています」と述べた。
先月のブラジル・ポルトアレグレで行われた総会はこの10年間で最大のエキュメニカル総会であり、よりイスラムーキリスト間の関係性を深め、キリスト教各宗派のエキュメニカルな関係性を強めることが呼びかけられた。
世界福音協会(WEA)CEO兼国際ディレクターのジェフ・タニクリフ牧師はWEAについて、多くの点でWCCの掲げるエイズ、暴力、貧困というような問題を共有する4億人ものキリスト教徒による、WCCに対する「パラレルネットワーク」であると述べた。
とりわけタニクリフ牧師はWCC教会に多く存在する福音主義者は全体的な奉仕、福音の宣教に生涯を捧げていることにふれ、「もし我々が世の中を無視すれば、我々は『もし私たちが御言葉を無視すれば、私たちは世に何をももたらすことはできません』という御言葉を裏切ることになる」と述べた。
タニクリフ牧師は、WEAはWCCのメンバーではない理由として、これら2つの世界共同体の体質が異なることを挙げた。またその他にも歴史的な深い問題も絡んでいると述べたという。
しかしながら同師は、これら2つの共同体はウガンダ北部危機など双方の共同体が同意する問題を通じて、コネクションを計ることがこれから重要になると述べた。
タニクリフ牧師は福音主義や改宗問題に関して、なによりも個人がキリスト教に改宗したいという欲求に直面することが「福音運動の核心」であると述べた。また、どのように積極的に福音主義に関わっていくかについて模索し、最善の活動をする必要がある、と付け加えた。
聖公会カンタベリー大主教のローワン・ウィリアムズ博士は、第9回世界教会協議会のキリスト教アイデンティティーと宗教的多元性セッションで、「私たちキリスト教徒は、イエスキリストの中に明らかにされた神と神の招待を受けた全ての人々に対して絶対的な献身姿勢を示すために呼ばれたのです」と述べた。