【ワシントンD.C.】福音主義者らが環境保全主義者らと協力して、人間が主の創造物のための執事であるべきだとする伝統的な聖書の教えに従い、新たな地球温暖化防止運動を展開している。
86名の福音指導者、代表者らによって署名された文書の中には、「主を愛せよ、隣人を愛せよ、全地の創造主の執事としてより情熱的に具体的な行動によって気候変動問題に対応することが要求されている」と書かれている。
この報告書は、福音主義キリスト教徒による国家規模の調査で「地球環境問題に対する懸念は予測以上に強まっている」という報告を受けて作成。「福音主義者による気候変動イニシアティブ」と題されて2月8日、ワシントンD.C.での記者会見で発表された。
この調査によれば、福音主義者の4人のうち3人は環境問題を懸念しており、また3分の2は地球温暖化は実際に生じていると確信、10人のうち7人は地球規模の気候変動は「将来の世代に対し深刻な脅威となる」と認識しているという。
アリゾナ州に拠点を置くエリソン研究センターが発表した報告書によると、政治的保守派の福音主義者でも、10人に4人は地球温暖化が社会経済の過熱によって生じるのであれば、その速度を減速させなければならないと認識、半数は地球温暖化問題について直ちに取り組まなければならないと感じているという。
この文書に署名している86名の福音主義指導者たちは、米政府指導者らがこのような結果と彼らによる新たなイニシアティブに答えて、二酸化炭素放出を削減する国家規模の規制法案を施行することを期待している。
この「福音主義者による気候変動イニシアティブ」には、「米福音主義キリスト教徒の指導者として私たちは、世界にもっとも影響力のある国家である米国に、公共政策形成の元となる聖書に基づいた道徳観を与える機会と、そのような重要な機会を与えることへの責任性の双方について深く認識しなければならない」と書かれている。
この文書の支持者にはサドルバック教会のリック・ウォレン牧師、国際キリスト教支援団体ワールド・ビジョン会長のリッチ・スターンズ氏、救世軍米国司令官トッド・バセット氏、米ホイートン大学学長デュアン・リッフィン氏ら福音主義トップスターの面々が名を連ねている。
しかしながら日本でも育児教育の有識者として名高いフォーカスオンザファミリー創設者のジェームズ・ドブソン氏、サザンバプテスト教会宗教倫理解放委員会会長リチャード・ランド氏など、過去にブッシュ政権と公共政策において親密に協力してきた福音主義重役者らの名前は今回の署名にはなかった。
ドブソン氏、ランド氏含む20名の福音主義者らは米国福音協会(NAE)が地球温暖化問題に対し公式に運動を起こすのを控えるように促す文書に署名している。
NAEに対し保守派福音主義者らは、「私たちは聖書を信じる福音主義者たちに地球温暖化問題の解決法、重要性、原因について異論を唱える余地を与えなければならないと信じています」と書簡で意見を表明したという。
一方今回のイニシアティブに署名した福音主義者らは現在福音キリスト共同体から大きな支持を得るために活動中である。福音環境ネットワーク執行理事長のジム・ボール氏は、「早く参加する人もいれば、出遅れる人もいる。私たちはこの一年で教会や大学などに手を差し伸べ多くの活動に加わっていくつもりである」と意気込みを語った。
ボール氏はこの数ヶ月間にわたって、署名者らと共に教会牧師に呼びかけるなど草の根レベルの活動をする予定である。さらに福音主義者による地球温暖化防止のためのテレビ放送や印刷メディアを通しての大々的な宣伝活動も既に開始しているという。