米国政府支援機関で民主主義を提唱する団体「フリーダム・ハウス」によるイラクではいくらかの支援による効果はあったものの、国民の自由権に至っては何の改善も見られていないという報告から一ヶ月後に、米国最大の人権団体である人権ウォッチが18日水曜日中東諸国における人権に対する悪化状況を提供する世界報告書を発行した。
人権ウォッチ報告書では、「2005年度イラクにおける人権状況は極めて悪化している」と述べられていた。
「2006年度世界人権ウォッチ報告書」と題された世界規模の人権調査書では、暴動の増加によって政策決定面では進歩を遂げているにもかかわらずイラクの経済基盤を整える努力が妨害されていることが述べられていた。
個人の人権を促進する憲法草案が10月に完成した後、多くの条例が法律として施行されている。最近イラクは12月に記念すべき議会選挙が行われた。
フリーダム・ハウスによる「2006年度の世界における自由」によると政治的な権利においては緩やかに改善されつつあるが、「スンニ派、シーア派、クルド派間の闘争が激化している現状においてはイラクにおいてこれまでなされた功績はすべて無駄になってしまうだろう」と述べられていた。
2005年9月には、イラクにおける国連援助団体が国連事務総長に対し、イラクの人権状況は深刻な状態になっていると報告した。
しかしながら未だに米国国際宗教解放委員会会長のマイケル・クロマティ氏はサダム・フセイン政権の崩壊後、宗教的自由の解放の面ではイラクの状況は回復したと12月のイラク総選挙後のコメントの中で述べた。
「イラクでは未だいくらかの問題が残っているが、少なくともサダム政権下では宗教の自由も人権もなかった。」と彼は主張した。
フリーダム・ハウスはまたアラブ諸国の人権状況について、
「中東諸国は民主主義、基本的人権、自由の面で他の地域と比べ遅れをとっているが、2005年度に遂げた進歩はこの地域、そして地球規模で見ても将来において自由への道を指し示すことのできる重要な進歩であったと言える。中東諸国に関する2006年度世界の自由報告書は今まで調査してきたなかでも最もよい自由への進展が見られたことを示すものであったと言えるだろう。」 と向上的な見解も示した。
またフリーダム・ハウスの年次報告書ではイラクは国民の政権、自由権において7段階の評価基準のうち、政権について6ポイント、自由権について5ポイントの高評価を下した。
2006年度人権ウォッチ報告書では2005年度における70カ国以上の国々での人権回復状況を提供している。