6日、福音宣教指導者は、テレビ伝道者パット・ロバートソン牧師が、イスラエルアリエル・シャロン首相が広範囲におよぶ血栓症に苦しんでいる最中に、首相の病状について「昨年夏にパレスチナに領土を譲渡したことで神の罰が下ったのだ」と公に非難した際、他の福音指導者は彼が話すことを事前にまったく耳に入れていなかったと強調した。
「イスラエル前首相イツハク・ラビン氏の1995年に生じた暗殺事件や、現イスラエル首相の血栓症のような特定の悲劇的事件についてロバートソン牧師は神の裁きであると主張していることに大変驚いている。ロバートソン牧師は状況についてもっとよく知るべきだ。」と宗教倫理解放委員会会長リチャード・ランド氏は語る。 国立福音協会会長のテッド・ハガード牧師は、ロバートソン牧師は福音協会には何も話しておらず、シャロン首相の病気は医学的に説明可能なものであると説明した。
ハガード牧師によると、シャロン首相は既に77歳と高齢でかつ肥満になっており、生活のあらゆる面で精神的プレッシャーの中に置かれていた。そのようなことからどんな医者でも彼が健康面で問題を生じる妥当ということは容易に想定できたことで、神がシャロン首相に罰を下したとする見方には疑問を感じるという。
ロバートソン牧師は昨年8月にベネズエラ大統領ヒューゴ・チャベス氏は暗殺されるべきだと断言したことから、ランド、ハガード両氏はロバートソン牧師と距離を置いていた。11月には米北東部ペンシルベニア州南部の町ドーバーで「創造論」を科学の時間に教えることを支持した保守的教育委員が落選したことでドーバーは神の怒りに触れることになったと警告するなど、宗教的に過激な発言を繰り返している。
ロバートソン牧師はイスラエル政府は「神から与えられた土地」に対し相当の土地代を支払っていると述べた。
テレビ放送で「神は土地を分断した民らに対し憎しみをもたれる。シャロン首相は神の土地を分断した、そして私はEU、国連、アメリカに譲歩するような政策をとるどんな首相に対しても悲痛を表明する。『この土地は私に属するものだ。この土地を誰にも渡してはならない』と神は言われる。」とロバートソン牧師はテレビ視聴者に向けて断言した。
6日、テレビキリスト教伝道ネットワークの広報官エンジェル・ワット氏はロバートソン牧師はただ単に視聴者に聖書の語ることで彼が信じていることを語っているだけだと話した。
しかしながら、昨年のワシントンにおけるシャロン首相を讃えるイベントに出席し、ロバートソン牧師の隣に着座したランド氏は聖書が教えることに対して別の考えを示している。
『ああ、神の知恵と知識との富は、何と底知れず深いことでしょう。』と聖パウロ使徒が讃えたローマ書11章を引用して、神の意思はロバートソン牧師の考えと比べどんなに偉大なことであろうか。聖書では神は裁きと正義の神であると同時に赦しと慈愛の神であることをはっきりと述べている。神は人を裁くのか、と聞かれれば確かに裁かれるのであるが、ある特定のイベントに対して神が裁かれるか否かという問題は聖パウロ使徒が語るように、そのさばきは知り尽くしがたく、測り知りがたいことである、とランド氏は述べた。
またローマ書2章には「ですから、すべて他人をさばく人よ。あなたに弁解の余地はありません。あなたは、他人をさばくことによって、自分自身を罪に定めています。」とも書かれていることにも注意したいところである。