【サンフランシスコ=吉本幸恵】教会は妊娠中絶の統計資料を信徒に示したり、妊娠中絶を行った女性のためのカウンセリングを行ったりするなど中絶問題に積極的に取り組むべきである、と家庭保護団体が提唱している。
来年1月15−22日の「生命の尊厳」週間を控え、米家庭保護団体「フォーカス・オン・ザ・ファミリー」は、世界の教会指導者に対し、中絶を経験した、または検討している全ての人々を慰め導くと同時に、中絶の実際を直視するよう求めている。
「助けと許しを得られることを、妊娠中絶を経験した全ての女性たちに知ってもらいたい。生命の尊厳週間のあいだ、聖職者たちはこれらの女性に手を差し伸べなければならない」と「生命の尊厳協会」のコンロイ理事長は語った。
米国疾病対策予防センター(CDC)の報告書によると、同国では2002年度に85万件以上の中絶が行われたという。
また、中絶支援研究機関によると、中絶をした女性の5人に1人は福音主義キリスト教徒であるという。
米国のカトリック、正教会、聖公会、南部バプテスト協議会は、妊娠中絶反対の立場を明らかにしている。米国福音ルーテル教会は中絶を「苦肉の策」として実行を避けるよう求めている。合衆国長老教会(PCUSA)と合同メソジスト教会は中絶を奨励しないとする一方、容認する方針だ。
コンロイ氏は、とりわけ実際に中絶を経験した人を交えて中絶問題を議論するのは非常に難しいが、教会はこの問題に立ち向かうべきだと指摘した。同氏は「もしわれわれが中絶を経験した女性、また中絶を検討している女性に癒しの手を差し伸べたいのなら、正義、寛容、思いやりの心が会話の前面に置かれるべきだ」と助言している。