香港で4日午後、民主化を求める大規模なデモがあり、市民が直接普通選挙実施の時期を示す枠組みの提示を要求した。主催者側の発表によると、約25万人がデモ行進に参加した。
デモ行進では、人々が民主主義化を求める内容のステッカーを衣服などに着け、プラカードを掲げて市街地を歩いた。香港が1997年に英国から中国に返還された際、中国政府は、香港の民主主義維持、中国と異なり普通選挙による指導者の選択権などを約束していた。香港のキリスト教紙、福音新報が伝えた。
プロテスタントやカトリックの主要8教会から代表が行進開始前に、スタート地点となるビクトリアパークに集合し賛美と祈りを行った。祈りでは、政治的な緊張が高まる中、香港が祝福と霊的な強さを与えられるよう神に求めた。
やがて香港市民と共に諸教派のクリスチャンが集まり、広場は数万の人で埋め尽くされた。デモ隊は、中国語で「仁愛を示し、正義を求め、民主の道を主と共に歩め」と書かれたプラカードを掲げ、香港特別行政区政府前まで行進した。
しかし行政長官側は、不十分と批判されている選挙制度の現行改革案を堅持する姿勢を崩していない。
政府が10月に示した改革案は?07年の行政長官選で長官を選ぶ選挙委員を現行の2倍にする、?08年立法議会選は直接選挙枠と職能代表枠を各5議席増やすという内容。
香港の民主化を求める人々は改革案で完全普通選挙導入への道筋が示されなかったことに反発。普通選挙実施までの具体的な日程を示すよう政府に求めた。同案が21日に立法議会で採決されるのを前に、大規模デモで修正圧力を強めるのが狙い。
共同通信によると、中国政府から指名されている曽蔭権・香港行政長官は、デモ隊の「声は聞いた」としながらも、21日に立法会の通過を目指している現行改革案を変更する余地はほぼないと言明。基本法(憲法に相当)が認めている完全普通選挙実施日程の枠組みを示す前に改革を推進すべきとの立場を明確にした。