「ビル・ウィルソン東京大会2007」が10日、東京・永田町にある星陵会館にて開幕した。会場の収容定員人数を上回る400人以上が参加。午後にビル・ウィルソン師(メトロ・ミニストリーズ・インターナショナル代表)が、「変化(トランスフォーメーション)するための土台を整える」をテーマに約2時間の講演を行い、日本の救いとリバイバルを強調した。長時間の講演だったにも関わらず、ウィルソン師は最初から最後まで熱く御言葉を発し続け、観衆らを感動の渦に巻き込んだ。講演の最後にウィルソン師は、「私には子ども達に語ってあげたいことがある。福音を伝え、彼らに救われるチャンスを与えてあげたい。私がかつて救われたように」と目に涙を浮かべながら証しした。
司会者の紹介が終わり、通訳を担当する万代栄嗣師(福音センターグループ主任牧師)と共にステージに登場したウィルソン師は、満面の笑みで観衆らに「Hello」と挨拶した。間髪を入れず「日本に来ることを楽しみにしていました」と一言。「日本の人たちは私のこころの中で大切な人たちであり、メトロのミニストリーにとっても大切な皆さんです。一人ひとりと挨拶を交わし、抱きしめたいくらいです」と一気に言葉を走らせ、観衆らに出会えた喜びを伝えた。
続けてウィルソン師は「変化(トランスフォーメーション)すること」を強調。「日本が変わらなければならない。この国を変えるためには皆さんが変わらなければなりません。私たちが変わればこの国を、この世界を、この世代を変えることができます」と主張し、その変化のための土台(基礎)を整えなければならないと熱く語った。さらに、「変化のためには何か新しいことを始めなければならない。新しい可能性に向かって新しい考え方と価値観が必要になる」と説明し、「過去を捨て、神のビジョンに向き合うなら人は変わることが出来る」と訴えた。
また、ウィルソン師は日本が変化することに大きな期待と希望を示した。同師が米ニューヨーク市のスラム街で展開しているアメリカ最大の日曜学校を東京で始めることができるなら、どのくらい大きな影響を及ぼすことができるだろうか。「ニューヨークで起こったことは東京でも起こるはずです。東京でこれが起こるならばアジア中で変化が起こるはずです」とウィルソン師は強く訴えた。現在同師のミニストリーは、シンガポール、マレーシア、フィリピンの首都でも展開されている。しかし、ウィルソン師は「東京が重要だ」とし、日本で同ミニストリーを始めることの必要性を呼びかけた。
「日本に特別な時が来ました。私たちが変えられるべき時が来ました」とウィルソン師が観衆に向かって叫ぶと、人々は「アーメン」と万感の思いを込めて熱く呼応し、拍手喝采でウィルソン師のメッセージを受け入れた。
講演の最後にウィルソン師は、自身が体験した悲惨な出来事を目に涙を浮かべながら証しした。ニューヨーク市のスラム街でゴミ捨て場の側を歩いていたウィルソン師は、何か黒い髪がゴミの間から出ているのを発見した。近寄ってよく見てみると、それは自分の教会学校に通っていた当時5歳の女の子で、うつぶせになって死んでいた。その子をゴミの中から引っ張り出して体をひっくり返してみると、すでにたくさんの蟻が全身にたかっていた。
「皆さんのようなきれいな生活ができないのです。どっちがいいとか悪いとかではなく、私の生と皆さんの生に違いがあるだけです」とウィルソン師は語った。そして、「私はまたそこへ戻り、ゴミ捨て場のような場所で暮らす子ども達を救います。彼らに語ってあげたいことがあります。福音のメッセージを語り、救われるチャンスを彼らに与えたいのです」と自身のミニストリーに対する思いを告白した。
ウィルソン師は13歳のときに母親から捨てられ、3日間飲まず食わずで同じ場所に座り続け、母親の帰りを待った。そんな自分を誰も気にかけてはくれなかった。「言いようのないさみしさと孤独を感じた」とウィルソン師は語る。しかし、そんな捨て子の自分に一人の男性が声をかけてくれた。クリスチャンだったその男性は主イエスのような温かい愛のこころでウィルソン師を抱き、その絶望の淵から救い出してくれた。
「どうしてまたあんなゴミ捨て場のような場所に行くのか。そんなことは自分はわからない。しかし主の御心があるから行くのです。私が確かにその愛によって救われたから行くのです」――ウィルソン師は静かに証しした。