藤沢町民劇団(皆川洋一団長)による大籠切支丹悲話「森に消えた十字架」仙台公演が17日、宮城県民会館で行われた。同劇団の処女作であるこの作品は、江戸末期に三百人以上が殉教した岩手県藤沢町大籠でのキリシタン弾圧を、加害者側である役人の視点で描いたもので、東京、盛岡での上演実績のある同劇団の代表演目となっている。仙台での公演は今回が初めてとなる。
藤沢町民劇団は、自分たちの郷土の歴史を伝えようと始まった全国でも珍しい町民による劇団。メンバーは総勢約60人で、藤沢町の子どもから年配者まで一丸となって、キリシタン弾圧の悲話を初め、同町の歴史を伝えようと稽古に励んでいる。また音響、照明などは藤沢町文化交流センターの「縄文ホール」運営ボランティアグループ「Jスタッフ協議会」が支えている。
岩手県藤沢町大籠は「東北の島原」とも呼ばれ、江戸時代初期には仙台藩の製鉄場として栄え約3万人のキリシタンが生活していたが、江戸時代末期には伊達藩による激しい弾圧で三百人以上が殉教した。「森に消えた十字架」の原作、脚本、演出を手がけた皆川団長は、この殉教は藤沢町にとって史上最も大きな事件で、多くの民を処刑して平気な人間はいないという確信でこの作品を書いたと言う。
同作品は、過去に3回同町の縄文ホールで上演され、02年には東京の世田谷区民会館で、05年には盛岡市の盛岡グランドホテルで上演され、町内外に町の歴史や文化を発信している。また、今月25日には4回目になる地元公演が縄文ホールで行われる。