1ミクロン(100万分の1メートル)の凹凸で光の像を浮かび出させる魔鏡など、日本のハイテク技術の原点といえる江戸時代の器物を集めた特別展示「東アジアから世界へ−魔鏡」が6日から8日まで、京都市左京区の京都大総合博物館で行われた。 京都新聞が伝えた。
京大時計台記念館で始まる「第8回江戸のモノづくり国際シンポジウム」にあわせて開催。江戸時代を中心に、日本のものづくりの伝統を表す鏡や測量道具、望遠鏡など約270点を展示した。
世界を驚かせた魔鏡は、十字架にはりつけられたキリストの像が浮かぶ「キリシタン魔鏡」(西南学院大博物館所蔵)や、旧制三高で理科実験に使われた高砂文字魔鏡(京大総合博物館所蔵)など6面。長浜市の鉄砲鍛冶師、国友一貫斎(1778−1840)が日本で初めて製作した反射望遠鏡や気砲は「輸入品よりも性能が良かった」(冨井洋一京大教授)という。さまざまな造形の根付も「依頼者や職人の、あふれる好奇心がよく分かる」(同教授)という。
時計台記念館では、「からくり儀右衛門」と呼ばれ、東芝の礎を築いた田中久重(1799−1881)が京都在住時に製作した和時計の最高傑作「万年自鳴鐘」の復元品展示や、からくり人形の実演、魔鏡に光を当てる実験などが披露された。