60年以上の間、ハンセン病による偏見や差別を受けてきたクリスチャン、太田国男さん(75)が、教会での講演の内容やハンセン病療養所の機関紙に掲載した文章をまとめた単行本「自分の十字架を背負って」を自費出版した。療養所生活の苦難やキリスト教の信仰をつづった同書を太田さんは「生前遺稿集」と位置付けている。
愛知県で生まれた太田さんは10歳のころハンセン病を患い、14歳で栗生楽泉園(群馬県)に入所。2年後にキリスト教に入信し、療養生活の傍ら、教会での活動を続けた。1984年に菊池恵楓園(熊本県)に移り、2002年まで菊池黎明教会の執事を務めた。現在は入所者自治会常任委員として活動する。
太田さんは、ハンセン病によって受けた理不尽な差別と偏見を「十字架」と表現した。「人の命は風ぼうに左右されず、生きていること自体が尊い。何かに悩んで自信をなくしている人に、生きる勇気や喜びを伝えたい」と読者へのメッセージを語った。
A5判、229ページ。1200円。今回は1000部を出版した。問い合わせは玄遊舎(電話:096・242・8040)まで。