写真家、前谷治朗さんの「長崎県・五島列島のキリスト教信仰の歴史」をテーマにした写真展がギャラリー・ジロー(京都府京都市)で開催されている。6月4日まで。
前谷さんが初めて五島列島を訪れたのは3年前。その後、渡来の信仰と弾圧の歴史の跡を探ろうと、撮影を重ねてきた。
今回の展示品は、迫害で傷つけられたマリア像や、島に自生するツバキを図案化した教会のステンドグラスなどの組み写真12点。
辺境の地、五島は江戸時代に新田開発などの目的で多数の開拓移民を受け入れた。このとき迫害されていた多数の隠れキリシタンが五島にやってきて、やせ地を開拓して集落を造った。キリシタンは表向きは仏教徒として来たので、弾圧も踏み絵もなく、平穏に暮らすことができた。だが間もなくキリスト教徒と分かり、幕末から明治期にかけて大迫害を受けた。キリスト教徒たちは迫害に耐え、明治以降多くの教会を建てた。今も五島には教会が多く点在し、諸教会は今も島の人たちの純粋な信仰の場となっている。
前谷さんは「島の人たちが苦難に耐えながら自分たちの信仰を守ってきた軌跡を感じてもらえれば」と話している。入場無料。問い合わせ:Tel:075(611)0866