イエス・キリストが、自ら十字架刑に処せられることを知りつつ、人々の罪をあがなうためにエルサレムに入城した日を記念するパームサンデー(しゅろの主日)の1日、東京・淀橋教会の音楽伝道会「作曲家と神の交わりシリーズ」(第19回)が同教会インマヌエルチャペルであった。作曲家ハイドンが受難週に向けて書いた作品「十字架上の七つの言葉」(弦楽四重奏版)を同教会所属の合奏隊「アンサンブルアガペ」が演奏。同教会主管牧師の峯野龍弘師が曲の合間に7つの十字架のメッセージを伝えた。
ハイドンの「十字架上の七つの言葉」は、十字架につけられた主イエスが語った7つの言葉をもとに作られている。ハイドンは音楽と礼拝の一体を目指し、この曲の合間に説教者が福音のメッセージを語れるように編集した。だが関係者によると、牧師のメッセージを加えるスタイルでこの曲が演奏される機会はあまりないという。峯野師は、主イエスが十字架上で語った一つひとつの御言葉を解説しながら、曲の背後に秘められたハイドンの深い信仰と祈りの世界を説いた。
演奏は聖句一つひとつをテーマに進行する。まずは序奏から始まり、c[1]「父よ彼らをお赦しください。自分が何をしているのか知らないのです」(ルカ23:34)、c[2]「はっきり言っておくが、あなたは今日わたしと一緒に楽園にいる」(ルカ23:43)、c[3]「婦人よ、御覧なさい。あなたの子です」「見なさいあなたの母です」(ヨハネ19:26−27)、c[4]「わが神、わが神、なぜわたしをお見捨てになったのですか」(マタイ27:46)、c[5]「渇く」(ヨハネ19:28)、c[6]「成し遂げられた」(ヨハネ19:30)、c[7]「父よ、私の霊を御手にゆだねます」(ルカ23:46)、最後は終曲「地震」(マタイ27:51−52)で締めくくった。
メッセージの中で峯野師は、主が十字架にかかられたことで示された神の愛とは、「相手のために、しかも自らに敵対し、不利益を与える相手のためにさえ、あえて自己犠牲を甘受して、その相手の祝福のために献げ仕えていく、何一つ見返りを期待しない」ものであり、「そのイエス様の愛が私たちのうちにも注がれているのです」と訴えた。
峯野師は、「愛はとこしえに変わることはない。イエスの十字架は我々を生かすいのちの泉となって永遠に生き続けるでしょう」と語り、「信じる者には永遠のいのちが与えられる」と会衆を信仰の決心に導いた。
すべての演奏が終わると、集まった100人以上の会衆は惜しみない拍手を送り、十字架の意味と信仰の深い世界を鮮やかに描き出した説教者と演奏者たちのゆえに、神に感謝をささげた。