「GoodSamaritan」略してグーサマと名づけられたボランティアネットワークが、茨城キリスト教大学(日立市)に設置されている。キリスト教精神に基づいた愛の実践の場としての取り組みだ。
名称はルカによる福音書10章30〜37節で主イエスが話す隣人愛の例え「善きサマリア人」にちなんで付けられたもの。
ネットワーク誕生のきっかけは昨年10月、茨城キリスト教学園の廣瀬正理事長を実行委員長に開催された星野富弘さん(詩人)の詩画展だった。このイベントのために学園宗教センター(学園内におけるキリスト教教育のサポートセンター)が主導となって学生にボランティアを呼びかけたところ、約20人の学生が集まり、販売受付や会場案内、設置や後片付けなどの奉仕を行った。
その後、学園宗教センターでクリスマスに聖歌隊を組む事になり、登録されていたボランティアメンバーと新たに募集したメンバーを加え、病院や福祉施設で賛美を捧げた。
同大ではほかにも、以前からアジアからの私費留学生援助のために書き損じのはがきを収集したり、児童福祉施設でボランティア家庭教師の派遣を行ったりと、活発にボランティア活動を続けている。07年度は活動拡大のための予算も取った。
学園宗教センターでは、ボランティアメンバーがチャペル運営のサポーターとして礼拝の準備や受付などを行い、学園内外で「善き隣人」としての地道な奉仕に励んでいる。
イエスキリストが貧しい者、弱い者の為に自ら歩み寄り、ご自分を無にし捧げていったように、グーサマでは「誰かがやるだろう」と見過ごしにせず自ら進んで裏方として奉仕している。
「キリスト教の精神に基づき、謙虚に真理を追究し、公正を尊び、真の隣人愛をもって、人と社会に進んで奉仕し、人類の福祉と世界の平和に貢献する人間の育成を目的とする」が同大の精神だ。「アジアの貧しい国々へ洋服を送ってあげたい」――廣瀬理事長にも地域に留まることのない世界のサマリア人のとしてのビジョンがある。
同大では学生・生徒支援のための一般ボランティアも募集しており、「共に生きる未来」を目指して、それぞれがもつ経験や専門的な知識を生かしながら交流し、学びあおうと呼びかけている。グーサマとの連携も図っていきたい考えだ。
学園宗教センターでは、同大が創立40周年を迎える今年、小中高生と大学生が一つになって行うゴスペルコンサートを企画中だという。