「なんでこんなに悲しいことにならないといけないの?」――東日本大震災で被災した7歳の少女の質問に、ローマ教皇ベネディクト16世は「我々は答えを持っていませんが、罪なきキリストがあなた方と同じく苦しまれたということは知っています」「真実なる神は我々と共にいるのです」などと答えた。
教皇と少女のやり取りは、国営イタリア放送協会(RAI)のカトリック教徒向けテレビ番組で22日に放送された。番組は、教皇が一般視聴者からの質問に答えるという初めての試み。番組では約3000人の応募者の中から選ばれた7人が質問を投げ掛けた。
イタリア人の父と日本人の母を持つ千葉市在住のエレナちゃん(7)は、番組で一番目の質問者として登場。ビデオ映像を通して、「私は日本人で7歳です。私はとても怖い思いをしています。大丈夫だと思っていた家がとても揺れ、同じ年頃の子どもがたくさん亡くなったり、外の公園に遊びに行けないからです。なぜこんなに悲しいことになるのか、神様とお話ができる教皇様、教えてください」(共同)と、日本語で教皇に質問した。
これに対して教皇はイタリア語で応じ、「私も『なぜこのようなことが。他の人々は平安のうちに生きているのに、なぜあなた方は苦しまなければならないのか』という同じ問いを持っています」とコメント。
「我々は答えを持っていませんが、罪なきキリストがあなた方と同じく苦しまれたということは知っています。イエスの生涯を通して来られた真実なる神は我々と共にいるのです」と答え、「悲しみの中にあっても、たとえすべての答えを知らないとしても、神は我々の側におられ、我々を助けてくださいます」と励ました。