2010年度の英国内ギャンブル普及率調査書を元にして、英諸教会代表者らが英政府に対し、ギャンブル対策に働きかけるように訴えている。調査書では、2010年度にギャンブルを行う英国人の増加が示された。
国営宝くじを除いたとしても、調査書によると2010年度に英国人の56%が何らかのギャンブルに手を染めたことが明らかとなった。2007年度の48%に比べ8%の増加を示している。ギャンブル中毒に陥っている英国人も2007年度の28万4千人から比較して現在にいたっては36万人となっていると推定されている。
英国福音同盟のダニエル・ウェブスター氏は、ギャンブルについて「経済的に困難な時期にギャンブルに手を出しやすいものだ。しかしギャンブルにおける現実の勝者はギャンブルを行う人ではなく、ギャンブルを運営する店舗やカジノ経営者である」と警告している。
今日の英国では多くのギャンブルに関する問題が積み重なっている。英救世軍広報担当者のガレス・ウォリス氏は英政府に対しギャンブル機器製造会社の持ち株比率を増大させる計画や、英市街のカジノやギャンブル関係の店舗数の割合の増大を許可する計画を停止するように呼びかけている。スコットランド教会の教会と社会協議会コンビ―ナーのイアン・ガロウェイ牧師は「市街のゲームセンターにあるギャンブル機器によって、英国内すべてのハイストリートをカジノ街へと変えてしまう」との懸念を示した。メソジスト教会のポール・モリソン氏は、「政府はカジノの蔓延を阻止する前にこの様な産業から利益を得る行為を止めなければならない」と述べた。
2010年度の調査書によると、より多くの英国人若年層男性がギャンブルに入り浸るようになり、その結果健康や家族との人間関係悪化をもたらしているという。宣教・公共関係部門の責任者マルコム・ブラウン牧師は「ギャンブラーの問題は現実の世界を歪曲させて捉え、自身だけでなくその家族をも精神的な不安定や貧困の状態に陥らせるようにさせることだ。これは個人的な道徳や品性の問題ではなく、より広範囲に及ぶ社会・国家政策の枠組みでその価値観を変化させるものであると捉える必要がある」と述べている。
英諸教会指導者らはギャンブル対策委員会に対する予算割り当て額の削減が行われている英政府に対し、さらなる英国人とギャンブルに対する調査を行い、ギャンブルがいかに英国文化を悪化させるかを見積もり、ギャンブル対策を真剣に行っていくべきだと促している。