熊本市の慈恵病院は24日、運営する「こうのとりのゆりかご」(通称:赤ちゃんポスト)を新病棟に移し、運用を開始した。専用の通路を生け垣などで覆い、ゆりかごに隣接して相談室を設けるなど、従来よりも相談のしやすさに配慮した構造となっている。
新しいゆりかごは、新病棟の裏側に設置され、人との接触がないよう専用の通路のみに通行が制限される。ゆりかごの隣には相談を呼び掛ける案内板を設置。インターホンでスタッフと話すことも可能だ。隣接する相談室に外から入れる扉も用意した。
ゆりかごには、昨年3月までに57人の乳幼児が預けられた。病院側では、ゆりかごでの新生児の受け入れはあくまでも「緊急避難的な処置」とし、母子ともに助けるための24時間無料電話相談「SOS赤ちゃんとお母さんの相談窓口」(24時間無料フリーダイアル:0120・783・449)を院内に常時開設している。ポストの保育器の中にも、預けた親あてに、病院への引き取りの連絡を呼び掛ける手紙を置いている。
ゆりかごは、厚生労働省の許可を得て07年5月に設置。運営の慈恵病院は、カトリックの「マリアの宣教者フランシスコ修道会」によって1898年(明治31年)に創設された。現在は近代的医療の展開をめざして修道会から経営を移管し、「キリストの愛と献身の精神の基に、病に苦しむ方々へ高度で暖かい医療と看護を尽くし、地域への貢献と人々の幸福に役立つこと」を理念に運営されている。