昭和期を代表する洋画家の小磯良平(こいそ・りょうへい、1903〜88)が日本聖書協会の依頼で描いた旧・新約聖書の32場面の挿絵原画と下絵などを展示する企画展「小磯良平・聖書のさしえ展」が福岡県田川市の田川市美術館で開かれている。2月13日まで。
クリスチャン・ホームで生まれ育った小磯は、その卓越した描写力を用い、近代的な群像表現を極めたことで知られている。1983年にはその功績が称えられ文化勲章を受章。92年には国内美術界最高峰の公募展である「小磯良平大賞展」が創設されている。
70年、日本聖書協会から聖書の挿絵を依頼された小磯は、独自の視点でノアの箱舟やバベルの塔、天使など32の場面を描写。実際には目で見ることのできない聖書の世界を確かな構成力とデッサンにより再現している。
今回の企画展では茨城県笠間市にある笠間日動美術館の所蔵品である、水彩による32点の挿絵原画とその下絵43点の計75点を展示。また、神戸市立小磯記念美術館の協力の下、小磯の代名詞とも言える女性像を描いた油彩作品も同時に展示する。
午前9時半から午後5時半まで。月曜日休館。観覧料は一般500円、高校・大学生200円、小中学生100円。問い合わせは、田川市美術館(0947・44・2000)へ。