【CJC=東京】米宗教記者会メンバーが選んだ2010年の宗教トップ10ニュースが発表された。第1位は、ニューヨークの同時多発テロが発生した『グラウンドゼロ』付近にイスラム教センターやモスクが建設される計画をめぐる論議。数カ月にわたって信教の自由をめぐる問題としてメディアに取り上げられたことが重視された。
当事者であるイマーム・ファイサル・アブドル・ラウフは「2010年のニュースメーカー・宗教版」に選ばれている。フロリダ州の小教会の牧師が計画に抗議してコーランを燃やすと宣言したことも、大きな反響を呼び、海外からの反米感情は、焼却断念が発表されるまで悪化の一方だった。
トップ10は次の通り。
(1)イスラム教センターとモスクのグラウンドゼロ付近に建設する計画をめぐる論議とフロリダ州の牧師による抗議のためのコーラン焼却計画。
(2)ハイチの壊滅的な地震と宗教団体による救援活動。アイダホ州南部バプテスト連盟の活動家が児童誘拐容疑で収監。
(3)教皇ベネディクト16世が、アイルランド、ドイツ、米国などの聖職者による児童性的虐待に関する教会の対応遅れを非難。
(4)『ティーパーティー』運動が台頭。宗教右派勢力の政治的復権か、不況への反発か。
(5)バラク・オバマ大統領が署名した医療改革法案は、宗教団体が成立を働きかけてきたもの。一方でカトリック司教は、中絶のための資金提供につながるとして強硬に反対している。
(6)同性愛聖職者の容認などセクシュアリティ問題で主流各派が様々な動きを見せ、議論も白熱。一部に離脱の動きも。
(7)長引く景気低迷が教会や宣教活動に影響。『クリスタル・カテドラル』が破産、ルーテル派系の『アウグスブルグ・フォートレスプレス』が年金制度廃止、『フォーカス・オン・ザ・ファミリー』はスタッフ110人解雇、セブンスデー・アドベンチスト系出版社がトップを更迭。
(8)相次ぐ自殺で「いじめ」が注目集める。宗教団体は強く非難するものの、原因の中には同性愛がらみのものがあり、宗教自体が「いじめ」の原因になっている、
(9)『ピューフォーラム』が発表した、米国の宗教知識調査では、無神論者、不可知論者、ユダヤ人、モルモン教徒の正解率が最高という結果が出た。
(10)米連邦最高裁判所判事がカトリック6人、ユダヤ教徒3人で、プロテスタントが初めていなくなった。
調査は同協会によって30年近く続けられている。今回もジャーナリスト300人以上にオンラインで依頼、回答率は3割弱だった。□