【南アフリカ・ケープタウン】「ローザンヌ誓約」の起草委員長だったジョン・ストット氏の設立した宣教支援団体「ランガム・パートナーシップ」の国際代表で神学者のクリス・ライト氏が23日、ケープタウン2010=第3回ローザンヌ世界宣教会議=で講演し、全世界の福音主義クリスチャンに対して信仰の大改革を求めた。
ライト氏は、「世界宣教の最大の障害はクリスチャン自身の不従順と偶像崇拝の罪だ」と述べて、権力、自尊心、人望、富という偶像を捨ててキリストに対する「従順」、「一貫性」、「純真な信仰」に立ち返って悔い改めるよう呼びかけた。会場は大きな拍手に包まれた。
「わたしたちは世界に出て行く前に、わたしたちがまずキリストに立ち返らなければならない。わたしたちが世界を変えようとするなら、まずわたしたちが悔い改めを表明して改心しなければならない。救いを求めている人たちを探しに出て行く前に、まずわたしたちがひざまずいて神を求めなければならない。」
ライト氏は、クリスチャンが信仰と行動の一貫性を見失い、富と欲に屈していると指摘した。この傾向は旧約聖書のイスラエルの民から続いていて、神の民は現在に至るまで福音宣教の最大の障害となっていると強調した。
ライト氏は「神は、迫害や世俗文化という世の罪以上に、ご自身が救い出して神の民とされた者たちの罪と不従順と反逆に最もこころを痛めている。しかし、それでも神の民は自分たちの罪を見て見ぬ振りをしてきた」と語った。
「神の国は、偽りという土台の上には成り立たない。名声や財政支援を得るために自分の功績を偽ったところで、捏造された成功という偶像にひざまずいているに過ぎない。」
聖書は人間の強欲を厳しく指摘する。また聖書は、信仰者が苦難を経験し、キリストのくびきを負わなければならないと教える。だが、一部の説教者は神のこの言葉に全く言及せず、キリストの歩みとは正反対の自分の成功と繁栄を追い求める生活を教え続けている。
ライト氏は、たとえ多くのクリスチャンから支持されていても、弱者や貧しい人のために行動を起さず、苦難の道を歩んだ使徒や十字架で死なれたキリストと完全にかけ離れている指導者は偽預言者だ、と語った。
体裁や地位、権力への執着はキリストに対する不従順であり、福音伝道の働きを台無しにする。ライト氏は、「残念ながら、これらの偶像崇拝に陥っているクリスチャンや指導者は非常に多い。イエス・キリストが荒野で退けたこれら『捏造された成功』の誘惑を、彼らは退けることができなかった」と追及した。
ライト氏は「一貫性と信頼性の欠如という教会の過ちは教会自身に返ってくるだろう」と述べ、世界に罪の悔い改めを求めるとき、その過ちは「説得力の無さ」というかたちで暴かれることになると警告した。