9月20日から27日の一週間、創造科学探査の目的でアメリカのグランドキャニオンといくつかの峡谷を見分しました。このツアーはラブクリエーション実行委員会主催で、淀橋教会の峯野牧師をはじめとする日韓の牧師、信徒、未信者総勢48名の団体で行いました。日本列島の2倍半の広さのコロラド高原を中心として4千キロの行程を走破するという強行軍でしたが、無事故で守られました。
壮大なグランドキャニオンその他の大峡谷の地層を前にして、地質学の専門家で有名な創造科学者の一人であるイ・ジェマン宣教師(韓国ハンドン大学教授)の解説を聞くうちに、これらの大峡谷はガイドブックに載っているような何億年もかけて浸食されてできたものではなく、ノアの洪水によって短期間に造られたものであることがはっきりわかりました。「百聞は一見にしかず」といいますが、聖書の記述が事実であることが誰にとっても疑う余地なく一目瞭然でした。
数年前にグランドキャニオンの地層を研究している学者たち(すべてノンクリスチャン)が集まって成果を発表しあったところ、全員が峡谷短期間形成説を主張して大きな反響を呼びました。全世界が洪水で水没し、その水が短期間で引いたことによる巨大な地層形成と地殻変動がなければ、グランドキャニオンの地層および地形を説明することはできないのです。
進化論が普及することにより、創世記の記述の真実性が攻撃され、聖書の権威が損なわれました。ヨーロッパのキリスト教会はがら空きになり、多くの教会堂がイスラム教の寺院になり、映画館や酒場やミュージックホールに衣替えしています。日本では結婚式場として美しい教会堂をイギリスから輸入しています。アメリカでも公立学校での祈りが禁止され、宗教教育に大幅な制限が課されてきました。現代社会の問題の多くが聖書の価値観が失われたことに原因すると言われています。なぜなら進化論を基準とすれば、人間の祖先はサルにすぎず、人間社会には絶対的な倫理も道徳も存在せず、ただ弱肉強食の現実の中で生き抜いていくほかないからです。
このように進化論は福音宣教の最大の障害となっています。しかし見方を変えれば、進化論の普及によりさまざまな問題が発生しているからこそ、聖書に立ち返り神の創造の真実に目覚める必要とチャンスが与えられているのです。ヒマラヤの山頂からも貝や魚の化石が発見されている今日、ノアの洪水による全世界の水没は歴史上の事実であることが解明されつつあります。
「罪を犯しつづける人間たちに非常な悲しみを覚え人間を創造したことを悔いた神が、ノアの家族を除いて全人類を滅ぼした」という恐るべき真実が私たちに迫ってきます。深くえぐられた大峡谷とその底を流れるコロラド川の雄大な光景は、神の怒りの爪痕と悲しみの涙を表現しているのです。聖書の真実性にいまさらながら驚嘆せざるをえませんでした。キリストが再臨されるとき、いったい何人が神の裁きを免れて復活することができるのでしょうか。まことに戦慄が走る思いです。ただただキリストの十字架の贖いにすがるのみです。「ノアの箱船」はまさしく、キリストを信じた者だけが救われるという「キリストの箱船」を象徴しています。
「私は韓国にいた時は進化論を信じていました。ところがアメリカに留学して地質学を研究しているうちに進化論のさまざま矛盾に気づくようになり、聖書に書かれている神の万物創造の事実に目覚めました。改めて聖書の途方もないすばらしさに感激して、創造主の愛の福音を伝えることを生涯の使命としています」。感動と涙をもって情熱的に語るイ・ジェマン先生は、聞く者すべてを魅了し神の創造の世界に引き込んでいきます。イ先生の創造科学探査ツアーは今回で165回目ですが、これまでに参加した牧師、神学者、信徒、科学者のほとんどが、ノアの洪水が事実であることを信じたそうです。ラブクリエーションでは毎年探査ツアーを継続しますので、一人でも多くの日本人が参加するように期待しています。
「世界の歴史は数千年にすぎない」とルターは言い、「全能の神は一瞬にして万物を創造できたはずだが、あえて6日間もかけてお造りになったのだ」とカルビンは語っています。
日本では学校教育でもマスコミでも進化論が誤りなき科学的事実として教えられ報道されています。キリストの福音を阻むこの強大な進化論の壁を打ち破ることは容易ではありません。でも逆に考えれば、進化論こそは日本福音宣教の突破口です。人間はサルから進化した動物の一種にすぎないのか。それとも人間は初めから神の特別な愛の対象として神にそっくりに造られていて他のすべての被造物にはるかに卓越した存在であるのか。進化論の餌食になってむなしい人生を歩むのか、それとも進化論を餌食として愛の神の創造のとてつもないすばらしさに目覚めて生きるのか。それはあなたの選択なのです。
ささき みつお(弁護士)