国連食糧農業機関(FAO)は、今年の世界全体の飢餓人口が9億2500万人となり、15年ぶりの減少に転じるとの予測を発表した。
統計を取り始めた1969年以降、過去最悪を記録した昨年の10億2300万人に比べ9800万人(9・6%)減となるが、FAOは「依然として高い水準にある」と指摘。さらに、ロシアの干ばつなどによって今後穀物価格の上昇が続けば、予測よりも飢餓に苦しむ人が増える恐れがあると警告している。
減少の要因としてFAOは、発展途上国などの経済成長・景気回復や、2008年に高騰した食料価格が下落したことを挙げた。2015年までに飢餓人口を1990年比で半減させるという、国連の「ミレニアム開発目標」については「達成には程遠い」とした。
地域別の飢餓人口は中国とインドを擁するアジア・太平洋地域が最多の5億7800万人で、サハラ砂漠以南のアフリカが2億3900万人、中南米が5300万人となっている。サハラ砂漠以南のアフリカの数値は人口の約30%に当たる。