米同時多発テロ事件から9年目に当たる11日に、米フロリダ州のキリスト教会「ダブ・ワールド・アウトリーチ・センター」がイスラム教の聖典コーラン200冊を燃やす計画をしている問題で、同教会牧師のテリー・ジョーンズ氏は9日、一度集会を中止すると発表したものの、中止を見直し集会の実施を再検討すると発表した。
同教会の問題を巡っては世界中で非難の声が上がっており、国連の潘基文(パン・ギムン)事務総長は「決して容認されない行為だ」と批判し、中止を訴えた。
プロテスタント福音派の世界組織である世界福音同盟(WEA)のジェフ・トゥニクリフCEO兼国際ディレクターも計画を批判する声明を発表。コーランを焼却することは、イスラム教徒やその他の宗教を持つ隣人との間に平和と関係性を築くキリスト者としての役割に対して「著しい誤解」を与えるものであり、聖書に反する行為だと強く否定した。
ジョーンズ氏は9日昼、ニューヨークの同時テロ現場「グランド・ゼロ」近くに建設が計画されているモスクを移転することで地元のイスラム教指導者から合意を得たとして、コーラン焼却の集会を中止すると発表。また、今週末にはニューヨークで、モスク建設を進めるイスラム教指導者フェイサル・アブドゥル・ラウフ氏と会談する予定だと語っていた。
しかし、ウラフ氏はジョーンズ氏の発表を否定。ジョーンズ氏と事前協議をしていたフロリダ州のイスラム教指導者ムハンマド・ムスリ氏もジョーンズ氏の発言を否定したため、ジョーンズ氏は集会中止を見直す必要があるとした。
米国ではグランド・ゼロ近くのモスク建設などを巡って反イスラム感情が高まりつつあり、今回の問題が出たことで、米軍司令官や米政府高官らが相次いで懸念を表明している。
アフガニスタンやインドネシアでは反米デモが発生しており、米国務省は9日、今回の問題により各国で反米感情が高まりつつありデモが拡大する可能性があるとして、海外に渡航する米国民に注意を促す渡航警報を出した。各国の米大使館も緊急の対策会議を開くなど、対応に追われている。