大祭司とその仲間たち全部、・・・ねたみに燃えて立ち上がり、使徒たちを捕らえ、留置場に入れた。ところが、夜、主の使いが牢の戸を開き、彼らを連れ出し、「・・・人々にこのいのちのことばを、ことごとく語りなさい。」と言った。彼らはこれを聞くと、夜明けごろ宮にはいって教え始めた。・・・大祭司は使徒たちを問いただして、言った。「あの名によって教えてはならないときびしく命じておいたのに、何ということだ。・・・」ペテロをはじめ使徒たちは、答えて言った。「人に従うより、神に従うべきです。」・・・(使徒の働き5章17節〜32節)
今日の聖書箇所は、イエスの12弟子が聖霊を受けた後、エルサレムや世界中に広がっていった教会の指導者、使徒として大活躍した物語です。そこには、使徒たちがこだわっていたことがあり、私たちが癒やされたいと願う時にも、その正しいこだわりを持って祈りたいのです。
エルサレムの神殿を中心に権力を持っていたサドカイ派と呼ばれる祭司長たちは、人々がペテロとヨハネの語るキリストのメッセージを聞き、使徒たちに従おうとしていることに気づき、ねたみ、敵意に燃え、使徒たちを捕らえたのです。しかし、牢に入れられた使徒たちに不思議な働きが起こり、何度も解放されていくのです。
なぜ、祭司長たちは、使徒たちを恐れ、捕らえようとしたのでしょうか。使徒たちのメッセージを聞き、何万人もの人々がキリストを信じ、世の中がひっくり返るような新しい動きが起こっている。そればかりか、病人や、各地から連れて来られた悪霊に取りつかれた人々が皆、癒やされていったからです。それで、祭司長たちは、恐れ、使徒たちを迫害したのでした。
祭司長たちは、世の中のあらゆる権力を持っていましたが、使徒たちには権力はもちろん、神殿に捧げる金銀さえ持っていませんでした。その時、使徒たちはどうしたのでしょうか。信仰にこだわり、ピンチをチャンスに変え、大胆にイエス・キリストを宣べ伝え続けたのです。彼らは、まことに機能する信仰を持っていました。そこには、使徒たちがこだわっていた3つのことがあったのです。
1.イエス・キリストの御名へのこだわり
支配者たちは、使徒たちをむち打ち、「イエスの御名によって語ってはならない」と言い渡し、釈放しました。その時、使徒たちは苦しみながら出て来たのではなく、御名のためにはずかしめられたことを喜んでいたのです。そして、すぐさま、毎日、宮や家々で、イエスがキリストであることを宣べ伝え続けました。
また、この物語の直前にも、祭司長たちは、「イエスの御名によって、教えてはいけない」と命じていました。それでも使徒たちが止めようとしなかった理由は、御名によって祈ると、ものすごいことが起こったからです。イエスの御名によって病の癒やしが祈られ、救いが宣言されると、それが事実となったのです。イエスの御名によって祈る時、罪が赦され、永遠の命が与えられ、悪霊さえ追い出される。敵がどうしても封印したいと思うほど、イエスの御名には偉大な力があったのです。
2.人に従うより、神に従うこだわり
美しの門で足のきかない男が癒やされた物語の中でも、ペテロとヨハネは、「神に聞き従うより、あなたがたに聞き従うほうが、神の前に正しいかどうか判断して下さい」と、やはり神に従うことにこだわっていました。人々から様々な権威で命令され、おどされても、弟子たちは、世の中の人の言葉に従うべきなのか、神ご自身の言葉に従うべきか、必ず問い直していました。人の知恵やノウハウに従うのではなく、神の御言葉に従うことが大切です。
3.イエス・キリストの証人であるこだわり
弟子たちは、「自分が見たり、聞いたりしたことを話さないわけにはいきません」と、大祭司たちに語りました。イエスが目の前でして下さり、直接教えて下さったことを、語らないわけにはいかない。イエスのよみがえりの証人、聖霊に満たされた実体験者である自分たちが、偽るわけにはいかないと、キリストの証人であることにこだわりました。
初代教会のクリスチャンたちは、イエスの御名、神に従うこと、主の証人、この3つの信仰のこだわりによって、力に満たされ、数多くのしるしと不思議が起こり、毎日救われる人々がますます増え、ペテロの影に触れるだけでも癒やされる奇跡まで起こったのです。
癒やしをいただくための秘訣は、あなたが今まで受けた恵みを忘れないことです。そして、小さな証人として、あなたの身に起こった恵みを証しし続けていく時、癒やしはごく自然に与えられます。
全世界の教会の歴史は、この使徒の働きから、今もつながっています。同じ信仰を持つ私たちも、使徒たちが持っていたこだわりを持とうではありませんか。あなたがイエス・キリストの御名によって祈る時、必ず何かが起こります。霊的な領域において、神の力がほとばしり出るのです。その恵みをいただこうではありませんか。
万代栄嗣(まんだい・えいじ)
松山福音センターの牧師として、全国各地、そして海外へと飛び回る多忙な毎日。そのなかでも宗教を超えた各種講演を積極的に行っている。国内では松山を中心に、福岡、鹿児島、東京、神戸、広島、高松にて主任牧師として活動中。キリスト教界のなかでも、新進気鋭の牧師・伝道者として、注目の的。各種講演会では、牧師としての人間観、ノイローゼのカウンセリングの経験、留学体験などを土台に、真に満足できる生き方の秘訣について、大胆に語り続けている。講演内容も、自己啓発、生きがい論、目標設定、人間関係など多岐にわたる。
また、自らがリーダー、そしてボーカルを務める『がんばるばんど』の活動を通し、人生に対する前向きで積極的な姿勢を歌によって伝え続け、幅広い年齢層に支持されている。
国外では、インド、東南アジア、ブラジル等を中心に伝道活動や、神学校の教師として活躍している。