オリーブの歴史は古く、紀元前3000年には地中海沿岸で栽培が始まっていたとされる。現在も生産国の98%以上は地中海地域に集中している。日本では1910年頃、香川県の小豆島で初めて栽培に成功した。
オリーブから採取される油(オリーブオイル)の用途は多岐にわたる。聖書にも多くの記述が見られるように儀式用、食用、薬用、灯火用、化粧用と、様々な場面で人間の生活を支えてきた。その効能は、コレステロールの軽減、動脈硬化、狭心症、心筋梗塞、脳梗塞などの予防、糖尿病の改善、便秘解消に加え、老化防止や美容、日焼け止めにも効果を発揮と、現代人は手放せなそうだ。
日焼けが気になる季節。オリーブオイルは紫外線をよく吸収するため、肌に当たる紫外線の量を大幅に減らすことができる。精製度の低い油の使用によって起こる「油焼け」というものがあるが、オリーブオイルの場合、品質の安定性が非常に高いためこの心配もない。
これらの効能が再び見直され、ここ数年、テレビや雑誌などで盛んに取り上げられている。聖路加国際病院理事長で98歳にして現役医師の日野原重明氏も、朝食にはオリーブオイル入りの特製ジュースを飲んで健康を保っているそうだ。
十字架につけられる前にイエス・キリストが過ごされたのはオリーブ山、祈った場所は「油搾りの場」という意味のあるゲッセマネだった。キリストという言葉も本来「油を注がれた者」という意味だ。
神様から人間への贈り物、オリーブ。その樹齢は300年から400年にも及び、中には1000年を超えるものもあるという。聖書の世界に思いを馳せつつ、感謝して味わいたい。