【CJC=東京】ハイチ大地震の救援で、カトリック教会関係は調整役として『コルウヌム』(教皇庁開発援助促進評議会)が登場した。ただ本当にその権限があるのか、については疑問がないわけでなく、意外や援助の核心に触れ兼ねない問題をはらんでいる。1月12日の地震発生直後は、協力・調整なしに援助が行われ、混乱に拍車を掛ける結果になった。
『コルウヌム』は14日、米国に本拠を置く『カトリック・リリーフ・サービス』(CRS)を、緊急事態へ応答するコーディネーターに指定した。「300人以上が長期間にわたりハイチで活躍しており、これまでの経験、専門知識や資材が役に立つ」と言う。
この発表は、非常に多くの命が失われ、さらに多数の生命が危機にさらされている際に行われた。ただその意味は、カトリック教会の世界規模での救援や開発援助の核心に触れるものと見られる。
CRSは国際カリタス(CI)の一枠を形成している。国際カリタスの援助・開発活動は、国際赤十字に次ぐ規模だ。カリタス・ハイチ、カリタス・スイスやフランスの同様組織『セクール・カトリック』などと共にCRSはハイチで永続的な支援活動を展開して来た。
しかし『コルウヌム』のCRS「指名」は、国際カリタスとバチカン(ローマ教皇庁)との関係を取りざたされることとなった。そして何十年にわたってわだかまっていた傷を開いたと言える。
各カリタスは延べ162人を投入しており、『コルウヌム』がなぜ『国際カリタス』を指名しなかったのか疑問を抱いている。『コルウヌム』は、2004年の津波被害救援ではこのような介入を行っていない。
カリタス側の関係者は驚き、いらだちを隠さない人もいる。今回の決定になぜ事前にカリタス側と協議しなかったのか、疑問を抱いている。
バチカンのフェデリコ・ロンバルディ報道担当は、英専門週刊誌『タブレット』に『コルウヌム』がCRSを選定したのは「他のカトリック援助団体も介入したいと考えており、国際カリタスに加盟していない所もあるからだ」と語っている。その意図は、救援活動を混乱させたくない、という所にあるのは確かではある。